エアコンのドレンホース(排水ホース)がゴキブリの侵入経路になっている。と聞くと、ゾッとしてしまいますよね。実は、室外に放置されているドレンホースからは、小型のゴキブリや幼虫が入ってくる可能性があります。そんな心配を解決してくれるのが、防虫キャップをはじめとするドレンホース用の防虫グッズです。今回、ゴキラボ編集部は4タイプのドレンホース用の防虫グッズを取り寄せて徹底比較しました。
エアコンの排水ホースからゴキブリが侵入する可能性
ドレンホースは室外機とセットで野外に設置されています。
ゴキブリ対策の基本は、彼らの侵入経路を把握し、防ぐことです。なぜなら、家の中で見かけるゴキブリは、外から侵入してくるものがほとんど。排水溝や給排気口など、小さな隙間から彼らはやってきます。
そのなかでも、盲点なのがエアコンの排水ホース、つまりドレンホースです。ドレンホースとは、室内機(ドレンパン)に溜まった水を室外に流し出すホースのこと。通常はむき出しの状態で野外に放置されています。
ホームエアコン用のドレンホースは内径が20mm未満と、大型のゴキブリが入ってくるサイズではありませんが、小型であれば入ってくる可能性が考えられます。
エアコンのドレンホース。
エアコンのゴキブリ対策方法
ドレンホースにゴキブリが侵入する可能性を最小限に抑えてくれるのが防虫グッズです。
エアコンのドレンホース用防虫キャップは、100均ショップやネットショップ、ホームセンターで購入することができます。
ゴキラボ編集部では、防虫キャップ3種と、防虫弁1種を比較し、装着のしやすさや防虫度などを検証しました。
ゴキブリの侵入経路について詳しくは⇒『【専門家監修】ゴキブリはどこから入る?5つの侵入経路と防止対策🏠一戸建て・マンション共通』
ドレンホースがゴキブリの侵入口になるか確認したい方は⇒『【実験】ゴキブリはエアコンの排水ホース(90°)から侵入できるのか?』
防虫キャップ・ドレンキャップをおススメ順に紹介
ドレンホース用の防虫キャップは、メーカーは違えど、形状や設置方法は似ています。ここでは、代表的な3タイプの防虫キャップを見ていきましょう。
1位:「防虫メッシュフィルター」でゴキブリをシャットアウト
アーランドの「防虫メッシュフィルター」は、クリップとメッシュフィルターを使って虫の侵入を防止してくれます。どのサイズのドレンホースにも対応した、オールラウンダーです。
クリップ3個、メッシュフィルター12枚がセット。
フィルターは目が細かいので、ゴキブリをはじめほとんどの虫の侵入をシャットアウトしてくれます。また、ホコリなどの小さなゴミをキャッチするので、室外機の周りが汚れないのも高ポイントです。
メッシュフィルターは使い捨てで、約1~2カ月を目安に交換します。掃除の手間はかかりませんが、あまり経済的とは言えないのが残念。
とはいえ、どんなゴキブリでも侵入が防止できるというメリットは大きいです。
クリップはねじると写真のように止まります。
メッシュフィルターを約3分の1かぶせたドレンホース。
取り付け方は、メッシュフィルターにドレンホースの先を入れて、クリップをねじって止めるだけ。この時、メッシュフィルターを全部かぶせるのではなく、全体の約3分の1だけかぶせるのがポイントです。クリップで止めただけだと外れやすいのでは? と思い、メッシュフィルターを引っ張ってみましたが、簡単に外れることはありませんでした。
装着のしやすさ | |
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外れにくさ | |
防虫度 |
2位:100円なら納得!Seria(セリア)の「防虫キャップ」
108円(2個セット、税込)。
100均ショップには、ゴキブリ対策に使えるアイテムが充実しています。そのなかでも、Seria(セリア)で扱っている「防虫キャップ」は、コストパフォーマンスがいいと評判です。
ドレンホースの先に差し込んでセットするタイプで、内径14mmと16mmのドレンホースに対応しています。
100均ショップのゴキブリ対策グッズについては⇒『100均のゴキ対策グッズ6選(隙間テープ/ホウ酸団子/ゴキブリ取りなど)』
防虫キャップは筒状で、長さは63mm。写真右側の溝がストッパー(溝)です。
設置方法は、ドレンホースの蛇腹部に「防虫キャップ」を差し込んで完成です。このさい、ドレンホースの内径によって、「防虫キャップ」の差し込める位置が変わります。内径14mmの場合はストッパー(溝)の2段目、16mmの場合は4段目までです。
蛇腹部が先に出ていない場合は、接続口をカットします。
ドレンホース蛇腹部の凹部分は、カッターでサクッと切れます。
差し込みする時に、なかなか「防虫キャップ」がドレンホースに入らないので、ねじり込むように差し込むのがコツです。
内径14mmのドレンホースに設置した防虫キャップ。
説明書には、ゴキブリをはじめとする虫の侵入を防ぐと謳われています。しかし、フィルターの穴が縦約2mm×横約5mmとやや大きめなので、ゴキブリの幼虫は侵入してくる可能性が考えられます。
「防虫キャップ」内にあるフィルター。
実際、ゴキラボ編集部で飼育しているクロゴキブリの幼虫は、直径2mmの穴を通り抜けることができました。
しかも、プラスチックの飼育ケースの壁をなんなく登るので、ドレンホースをつたって、室内機までたどり着く可能性も考えられます。
クロゴキブリの幼虫を見る
解決策としては、「防虫キャップ」を付けた上に、排水口用のゴミ取りネットをかぶせて、輪ゴムで止めておくという方法があります。どちらも100円ショップで手に入るので、リーズナブルにゴキブリ対策をしたいという方にはおススメです。
「防虫キャップ」を付けたドレンホースに、排水口用のゴミ取りネットをかぶせた状態。
また、ドレンホースに差し込むと、蛇腹部分とストッパーの凹凸がぴったりと合体するので、安定感は抜群。実際、取り外すときには、大人でも結構な力が必要でした。さらに、筒状のものを差し込んでいるため、ドレンホースの巻き癖による跳ね上がりを防ぐ効果も!
装着のしやすさ | |
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外れにくさ | |
防虫度 |
3位:装着は簡単だけど…「防虫ドレンキャップ」
因幡電工の「防虫ドレンキャップ」は、名前の通りドレンホースにかぶせるタイプ。内径14mmと16mmのドレンホースに対応しています。
ワンタッチ式の「防虫ドレンキャップ」。
フィルターの穴は、小さいもので縦約2mm×横約2mm、大きいもので縦約2mm×横約7mm。成虫のゴキブリは防げますが、幼虫は入れるサイズです。より防虫度を高めるなら、100円ショップなどで販売している排水口用のゴミ取りネットを、「防虫ドレンキャップ」の上からかぶせて、輪ゴムで止めておくのがベスト。
ドレンホースの蛇腹部にひっかける「防虫ドレンキャップ」の爪。
内径14mmのドレンホースに設置。
比較した商品のなかで、一番取り付けやすかったこの商品。ドレンホースの蛇腹部にかぶせるだけで装着できるシンプルな設計は、編集部メンバーも絶賛でした。
取り付け、取り外しが簡単なので、ホコリやゴミの清掃も楽ちん。脱着も、清掃も手間をかけたくない! という方にピッタリな商品です。
装着のしやすさ | |
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外れにくさ | |
防虫度 |
防虫キャップ設置時の注意ポイント
差し込み型とキャップ型の防虫グッズを購入する前には、ドレンホースの内径を確認しておきましょう。通常、ホームエアコンのドレンホースの内径は14mmか16mmのいずれかです。それ以外だと、防虫キャップや防虫弁のサイズが合わない場合があるので、注意が必要です。
今回使用したドレンホースは内径14mmでした。
番外編:エアカットバルブ(逆流防止弁)「おとめちゃん」で防虫!
防虫キャップ以外にも、ゴキブリの侵入を防止するグッズがあります。それが、因幡電工のエアカットバルブ「おとめちゃん」です。
なお、「おとめちゃん」は因幡電工のドレンホース「ハイクォリティドレンホースDHQ-14、DHQ-16」専用品です。他のメーカーをお使いの場合、水漏れすることがあるので、サイズを確認の上、購入してください。
エアカットバルブとは、ドレンホースから室内機に逆流した外気が、ドレンホース内にたまっている排水に混ざることで発生するポコポコ音を消してくれる便利アイテムです。
中に仕組まれている「弁」でドレンホースに逆流して入ってくる外気を防ぎ、排水の流れをスムーズにしてくれます。室内外の気圧差によって外気が逆流しやすい、マンションの高層階や高気密住宅などでよく使われるアイテムです。
この「弁」が、ゴキブリをはじめとする虫の侵入を防止してくれます。
プロに聞いた逆流防止弁の設置方法
今回、エアコン取付工事業者の下村幸大さんにお伺いした、「おとめちゃん」の設置方法を紹介します。
ちなみに、ドレンホースは、水が流れやすいように排水溝まで延長していることがあります。これは、各エアコンメーカーの説明書にも記載されていますが、誤った設置方法です。ドレンホースの先端は、地面から約10cm浮かすのが正しい方法。浮かさず設置した場合、ドレンホースの劣化が早くなるほか、悪臭などが逆流するおそれがあります。
このアドバイスを参考に、さっそく取り付け方法をチェックしていきましょう。
「おとめちゃん」はクリアなので、中の状態が見えます。
まずは、ドレンホースの準備から。蛇腹部を先端にするために、ホースの接続口を切ります。カットする位置は、室内機から1m以上低く、「おとめちゃん」が垂直に設置できる位置がベストです。
蛇腹部が先端にくるように切る。
実際にカットしている様子。
続いては、「おとめちゃん」の差し込み口(上側)に付いているクリップを外します。
銀色のクリップを外します。
いよいよ取り付けスタート。ドレンホースの先端となった蛇腹部に、ビニールテープを数回巻き付けます。このひと手間をかけることで、ドレンホースと「おとめちゃん」の差し込み口(上側)のサイズがピッタリと合うのです。
「おとめちゃん」の差し込み口(上側)に、ビニールテープを巻いたドレンホースを差し込みます。
そして、最初に外しておいた「おとめちゃん」のクリップを元の位置に付けます。
クリップを元の位置に付けました。
ドレンホースと「おとめちゃん」の差し込み口(上側)が接続できました。
次に、切り落とした側のドレンホースを使い、「おとめちゃん」の差し込み口(下側)の処理をします。ドレンホースの接続口を「おとめちゃん」の差し込み口(下側)に差し込み、ビニールテープで巻いて固定すれば完成です。
「おとめちゃん」の差し込み口(下側)にドレンホースの接続口をドッキング。
完成しました! ドレンホースの先端は地面から10cmほど離れています。
ここまでの作業時間は約5分。実際に私たちが設置しても、そこまで難しい作業ではないので、簡単にできるそうです。
なお、「おとめちゃん」の内部にゴミやホコリが詰まっていると正常に「弁」が動作しません。内部に付着物がある場合はもちろん、冷房を使い始めるタイミングや、使用までに期間が空いた場合は掃除が必要です。
清掃方法は、フタ部のツメを開き、フタ部と下部を離します。そして、フタ部に付いている「弁」を水洗いして完了です。
「おとめちゃん」のフタ部と下部を離す。
「弁」の部分をサッと水で洗います。
ツメを開くのに結構な力が必要だったので、分解して掃除するのは大変かもしれません。
装着のしやすさ | |
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外れにくさ | |
防虫度 |
ベイト剤(毒餌剤)と併用して効果アップ!
「防虫キャップだけでは不安…」という方もいらっしゃるかもしれません。その場合は、屋外用のベイト剤(毒餌剤)を併用するのがおススメです。ドレンホースの周辺や室外機の下などに、設置しておくといいでしょう。ちなみに、屋外用のベイト剤は、耐水性であったり、固定用のテープが付いていたりと、室内用とは異なる処方となっています。
なお、“まちぶせ”効果のあるスプレー式駆除剤を散布しておく方法もありますが、雨風の影響で効果が落ちやすいと考えられます。
まとめ
今回は、ドレンホース用の防虫グッズを4種紹介しました。
- 「防虫メッシュフィルター」(アーランド)
- 「防虫キャップ」(Seria(セリア))
- 「防虫ドレンキャップ」(因幡電工)
- 「おとめちゃん」(因幡電工)
全商品がゴキブリ対策を謳っているわけではないですが、大型のゴキブリであればどの防虫グッズも効果が期待できます。とくに、「防虫メッシュフィルター」(アーランド)は、編み目が細かいので安心感が高いです。また、簡単に取り外しできるのが編集部メンバーには好評でした。その他の商品についても、排水口用のゴミ取りネットを上にかぶせるといった工夫をすれば、幼虫や小型種の侵入対策にもなります。
ドレンホース用の防虫グッズを、ゴキブリ対策として取り入れてみてはいかがでしょうか。
取材協力:エアコン取付工事業者の下村幸大さん