50種以上ものゴキブリを展示する「ゴキブリ展-5G-」が、静岡県の磐田市竜洋昆虫自然観察公園で開催中。(2022年2月5日(土)~4月3日(日))。
2018年からスタートし、ついに5回目の開催となる「ゴキブリ展」。国内外の珍しいゴキブリを、間近で観察できるユニークな企画展です。
今回は、ゴキブリ愛好家はもちろん、「ゴキブリ!?」となる方でも楽しめる同展の魅力を、ゴキラボ編集部が全力でお伝えします!(訪問日:2022年2月25日)
これまで開催された「ゴキブリ展」の取材記事はこちら
取材協力:磐田市竜洋昆虫自然観察公園
「ゴキブリ展-5G-」とは?
ズラリと並ぶ展示ケースには、ゴキブリの生体が入っています
竜洋昆虫自然観察公園の名物企画「ゴキブリ展-5G-」。
国内外50種以上ものゴキブリを生体展示する、ほかでは見られない企画展です。
「『ゴキブリは家に出るタイプのものだけじゃない』そのことを知ってもらうために、たくさんの種類を展示しています」と語るのは、同展のプロデューサーをつとめる柳澤静磨さん。柳澤さんは、ゴキブリの魅力や生態を伝える“ゴキブリスト”であり、研究者でもある日本屈指のゴキブリマニアです。
ゴキブリスト・柳澤さん。ゴキブリの研究者として講演会やイベントなど、さまざまな活動をされています。Twitter/HP「ゴキブリ屋敷」
今年は、2021年に新種記載された「アカズミゴキブリ」をはじめ、2021年記載の「ツヤアカゴキブリ」や2020年記載の「アカボシルリゴキブリ」など、日本産ゴキブリの展示も過去最大数とのことで、期待が高まります!
\ゴキブリ展の豆知識/
タイトルの「5G」は5回目の開催、そして2回目のタイトル「ゴキブリ展G」にちなんだダブルミーニング。ポスターには、次世代通信規格「5G」を彷彿させる「ドキドキ ゾクゾク 加速する」のキャッチコピーが!芸が細かいです。
2022年のセンターはどのゴキブリ?GKB48総選挙
投票箱は、靴箱になっています。推しゴキブリの靴箱にラブレターを入れましょう。
「ゴキブリ展」の名物企画「GKB48総選挙」。展示されている48種のゴキブリから、自分の推しゴキブリを決めて投票するという企画です。
投票数が上位7位になったゴキブリは、神7として次回の「ゴキブリ展」でセンターに展示されます。
2021年の1位(センター)に輝いた「グリーンバナナローチ」(1,902票)
2位はゴキブリの天敵「エメラルドゴキブリバチ」(1,604票)でした
「推しゴキブリの見つけ方」を参考に、ぜひ自分の推しゴキブリを見つけてみてくださいね!
第5回GKB48総選挙にエントリーしたゴキブリたち
アカズミゴキブリ | アカボシルリゴキブリ |
アミメヒラタゴキブリ | アルゼンチンモリゴキブリ |
イエゴキブリ | オオゴキブリ |
オルターナベルベットローチ | オレンジスポットドミノゴキブリ |
オレンジヘッドビュレッドローチ | キボシクサリトイゴキブリ |
キョウトゴキブリ | グロウスポットローチ |
クロゴキブリ | コノハゴキブリ |
コワモンゴキブリ | サースレイサバクゴキブリ |
サツマゴキブリ | シナゴキブリ |
ジャイアントウッドローチ | ゼブラローチ |
チャバネゴキブリ | ツヤアカゴキブリ |
トビイロゴキブリ | トルキスタンゴキブリ |
ハイイロゴキブリ | バサリスサシガメゴキブリ |
バットローチ | ハテナゴキブリ |
ヒメマルゴキブリ | ピンクポーセリンローチ |
フタホシモリゴキブリ | ブラベルスギガンテウス |
ペールボーダーフィールドローチ | ホタルゴキブリ |
マダガスカルゴキブリ(インシグニス) | マダガスカルゴキブリ(ハバニカ) |
マダガスカルゴキブリ(ポルテントーサ) | マダガスカルゴキブリ(ラエビガータ) |
マダラゴキブリ | モリチャバネゴキブリ |
ヤマトゴキブリ | ヨツボシゴキブリ |
リュウキュウクチキゴキブリ | ルリゴキブリ |
ワモンゴキブリ | ワモンゴキブリ(ブラック) |
アシダカグモ | エメラルドセナガアナバチ |
アカズミゴキブリ | アカボシルリゴキブリ |
アミメヒラタゴキブリ | アルゼンチンモリゴキブリ |
イエゴキブリ | オオゴキブリ |
オルターナベルベットローチ | オレンジスポットドミノゴキブリ |
オレンジヘッドビュレッドローチ | キボシクサリトイゴキブリ |
キョウトゴキブリ | グロウスポットローチ |
クロゴキブリ | コノハゴキブリ |
コワモンゴキブリ | サースレイサバクゴキブリ |
サツマゴキブリ | シナゴキブリ |
ジャイアントウッドローチ | ゼブラローチ |
チャバネゴキブリ | ツヤアカゴキブリ |
トビイロゴキブリ | トルキスタンゴキブリ |
ハイイロゴキブリ | バサリスサシガメゴキブリ |
バットローチ | ハテナゴキブリ |
ヒメマルゴキブリ | ピンクポーセリンローチ |
フタホシモリゴキブリ | ブラベルスギガンテウス |
ペールボーダーフィールドローチ | ホタルゴキブリ |
マダガスカルゴキブリ(インシグニス) | マダガスカルゴキブリ(ハバニカ) |
マダガスカルゴキブリ(ポルテントーサ) | マダガスカルゴキブリ(ラエビガータ) |
マダラゴキブリ | モリチャバネゴキブリ |
ヤマトゴキブリ | ヨツボシゴキブリ |
リュウキュウクチキゴキブリ | ルリゴキブリ |
ワモンゴキブリ | ワモンゴキブリ(ブラック) |
アシダカグモ | エメラルドセナガアナバチ |
*エントリーナンバー順
ゴキブリスト・柳澤静磨さんの推しゴキブリ7選
まずは、ゴキブリスト・柳澤さん一押しのゴキブリをご紹介。
プロデューサーが推すゴキブリとは?
アカズミゴキブリ
「アカズミゴキブリ」のオス。世界初の展示です!
アイドル名 | アカズミゴキブリ |
---|---|
学名 | Periplaneta kijimuna |
大きさ | 体長が39.5mmほど、翅も含めた全長が42.1~45.3mm |
出身 | 沖縄県(西表島) |

柳澤静磨さん
アカズミゴキブリは昨日羽化したばかりの個体です。成虫で羽化したのは、これが初めてになります。
キレイ!キレイですね!翅がすごく赤くて、名前に偽りなし。

ゴキラボ編集部・和田

柳澤静磨さん
じつは、「アカズミゴキブリ」の名前は、前胸背板(ぜんきょうはいばん)の色なんですよ(笑)。
え!?

ゴキラボ編集部・和田

柳澤静磨さん
「アカズミゴキブリ」は前胸背板が墨に赤色を混ぜたような、暗めの赤色をしています。それが赤墨色に似ていることから、「アカズミゴキブリ」と名付けたんです。
前胸背板と翅の色が分かれています。
そこは、けっこう誤解されているのでは?

ゴキラボ編集部・和田

柳澤静磨さん
そうかもしれないです(笑)。この子はオスなので、サイズが大きくて、翅が長くてシュッとしています。デカくて、スタイルよくて、カッコいいですよね。さすが日本産ゴキブリ属で最大級。ゴキブリ好きはそう言ってくれると思っています(笑)。
「アカズミゴキブリ」の紹介文。
写真で見るよりも実物の方がカッコいいですね!
そしてなにより驚いたのが、小松 謙之先生(株式会社シー・アイ・シー)と一緒に研究されていたということです。

ゴキラボ編集部・和田

柳澤静磨さん
以前から親交があって、今回初めてご一緒させていただいたんです。
小松先生が執筆されている「ゴキブログ」を見てゴキブリの育て方を学んだので、本当に光栄でしたね。
押しポイント:スタイル良し、色合い良し、サイズも良し!
「アカズミゴキブリ」についてくわしくはコチラ「64種目!西表島で発見された新種の日本産G「アカズミゴキブリ」とは?柳澤静磨さん(竜洋昆虫自然観察公園)へ取材!」
アカボシルリゴキブリ
「アカボシルリゴキブリ」は、幼虫が登場!
アイドル名 | アカボシルリゴキブリ |
---|---|
学名 | Eucorydia tokaraensis |
大きさ | 約12~13mm |
出身 | 鹿児島県(家島、悪石島、奄美大島、徳之島) |
こちらも外せないでしょう!ということで、「アカボシルリゴキブリ」。
訪問時(2/26時点)は、幼虫でしたが、タイミングが合えば期間中に羽化するかもとのことでした。
参考までに、昨年の写真を!
翅には名前の由来となった赤い斑紋があります。
押しポイント:美しさ、ナンバーワン!
キボシクサリトイゴキブリ
「キボシクサリトイゴキブリ」のメス。
アイドル名 | キボシクサリトイゴキブリ |
---|---|
学名 | Thyrsocera spectabilis |
大きさ | 約15〜25mm |
出身 | スリランカ、ネパール、マレーシア、インドネシア |
一部が筆のようになった触角もいい!
今回初めての展示となる「キボシクサリトイゴキブリ」は、黄色と黒が艶やかな色彩の持ち主。
しかも、前胸背板と翅だけでなく、尾肢までも黄色なんです!

柳澤静磨さん
この子は幼虫の方が好きという方もいますね。
と見せてくださったのは、赤い前胸背板と尾肢を持つ「キボシクサリトイゴキブリ」の幼虫。
「キボシクサリトイゴキブリ」の幼虫
敵から身を守るために、鮮やかな色をしているそうです。
柳澤さんいわく「とっても高級なゴキブリ」とのことなので、じっくりと観察してみてくださいね。
押しポイント:一度見たら忘れられない鮮やかな色
バサリスサシガメゴキブリ
「バサリスサシガメゴキブリ 」。サシガメに擬態しているゴキブリです。
アイドル名 | バサリスサシガメゴキブリ |
---|---|
学名 | Paranauphoeta basalis |
大きさ | 約25〜28mm |
出身 | マレーシア、インドネシア |

柳澤静磨さん
翅の付け根にある、白い模様が天使の羽根に見えませんか?
いつかスカウトしたいと願っていたんです。
黒い前胸背板に、赤やオレンジの模様が入るのもカッコいい!(柳澤さん)
押しポイント:天使の羽根のような、翅の付け根の白い部分(マニアック!)
ツヤアカゴキブリ
「ツヤアカゴキブリ」。ウルルンな瞳に乾杯!
アイドル名 | ツヤアカゴキブリ |
---|---|
学名 | Periplaneta gajajimana |
大きさ | 約25〜31mm |
出身 | 鹿児島県(臥蛇島(がじゃじま)、悪石島(あくせきじま)) |
2021年に小松謙之さん(株式会社シー・アイ・シー)が記載された「ツヤアカゴキブリ」も初登場。名前のとおり、透明感のあるツヤが特長です。

柳澤静磨さん
野外で採集したときに、全体的に赤いので、ウルシゴキブリじゃないなぁ。と思ったんです。あと、翅も短い。
押しポイント:名前どおりのツヤツヤ感
「ツヤアカゴキブリ」についてくわしくはコチラ「赤いゴキブリ!?新種のツヤアカゴキブリの発見者・小松謙之さん(シー・アイ・シー)に取材」
ワモンゴキブリ(ブラック)
「ワモンゴキブリ(ブラック)」。マットな黒色が特徴です。
アイドル名 | ワモンゴキブリ |
---|---|
学名 | Periplaneta americana |
大きさ | 約30〜40mm |
出身 | 北海道〜台湾、全世界の熱帯、亜熱帯 |

柳澤静磨さん
黒っぽい個体同士をかけ合わせた、黒いワモンゴキブリです。最初見たときに、すごいカッコいいなと思ったゴキブリです。普通のワモンゴキブリは、茶色でツヤがないのが特長になります。
この子は、色は黒色をしていますが、ワモンゴキブリのマットな質感は受け継いでいるんです。じつは幼虫も黒なんですよ。
最近、Periplaneta属(ゴキブリ属)の魅力にハマっているという柳澤さんらしいセレクト。
\見比べてみよう/
「ワモンゴキブリ(ブラック)」。マットな黒色をしています。
通常の「ワモンゴキブリ」。マットな茶色をしています。
押しポイント:とにかく見た目がカッコいい!
マダラゴキブリ
「マダラゴキブリ」の成虫。透け感のある翅がキレイです。
アイドル名 | マダラゴキブリ |
---|---|
学名 | Rhabdoblatta guttigera |
大きさ | 約25〜30mm |
出身 | 九州、大隅諸島(おおすみしょとう)、トカラ列島、奄美郡島(あまみぐんとう)、沖縄諸島 |

柳澤静磨さん
じつは、普通のマダラゴキブリは初選抜になります。ヤエヤマゴキブリは何度かメンバーに選ばれているんですが、普通のマダラはまだ出てなかったんです。水に潜るゴキブリは、1種はメンバーに入れたいので、今回はこの子が入りました。
「マダラゴキブリ」の幼虫。水に潜って、お尻を出しています。
マダラゴキブリの幼虫が水に潜る様子を動画で見てみよう!

柳澤静磨さん
水に潜るのは幼虫。刺激すると水に入り、お尻だけ水から出して潜伏しています。
親は水を嫌がります。翅があるから浮いちゃうんでしょうね。
マダラゴキブリは、僕が「ゴキブリっておもしろい」と思ったゴキブリなので、思い出深いです。
押しポイント:唯一無二の潜水能力
ビギナー向け「推しゴキブリ」の見つけ方
「ゴキブリ展-5G-」へ初めて訪れる方や、どう見ればいいかがわからない方もいるはず。
そんなビギナーさん向けに「ゴキブリ展」の楽しみ方を、3つのステップでご紹介します。
ぜひ、参考にして「推しゴキブリ」を見つけてくださいね♪
ステップ1|かわいいゴキブリを愛でる
会場には、見た目がゴキブリらしくない種類もたくさんいます。
ゴキブリはちょっと…苦手。という方でも、「かわいい!」と言いたくなる彼らの仲間を見ていきましょう。
オレンジスポットドミノゴキブリ
オレンジ色の斑紋が目印の「オレンジスポットドミノゴキブリ」。
アイドル名 | オレンジスポットドミノゴキブリ |
---|---|
学名 | Therea regularis |
大きさ | 約15~25mm |
出身 | インド |
「オレンジスポットドミノゴキブリ」を見て、誰がゴキブリだと思いますか?
テントウムシのような愛らしい模様、フワフワした体、丸いフォルム。「かわいい!」としか言いようがないですね。
後ろ姿もかわいい!
ハテナゴキブリ
ハテナ模様の「ハテナゴキブリ」。
アイドル名 | ハテナゴキブリ |
---|---|
学名 | Therea olegrandjeani |
大きさ | 約15〜30mm |
出身 | インド |
翅に「?(クエスチョンマーク)」の模様が入ったゴキブリ。
なぜ「?」なのかは、誰もが「?」だそうです。
ちょっと不思議な「ハテナゴキブリ」。今年こそはナンバーワンに!と意気込んでいます。
ドミノゴキブリ(卒業生)
ドミノ模様の「ドミノゴキブリ」。
アイドル名 | ドミノゴキブリ |
---|---|
学名 | Therea petiveriana |
大きさ | 10〜25mm |
出身 | インド |
かわいいゴキブリの代表格「ドミノゴキブリ」。
ベルベットのような質感の体に、白い水玉模様があしらわれています。
まさに「かわいいは正義!」のようなゴキブリです。
第二回GKB48総選挙で1位に輝き、現在は卒業メンバーとして、今回の総選挙を見守っています。
ステップ2|展示ケースでゴキブリの多様性を見る
ゴキブリたちのステージである展示ケースも、見どころのひとつ。
その理由は、ゴキブリの生息地の多様性にあります。
「展示ケースは、昆虫の生息地に合わせたディスプレイにしています。
でも、人工っぽいものから自然っぽいものまで幅が広いのは、ゴキブリだからこそかもしれませんね」(柳澤さん)
園の職員さんが魂込めて制作しているという、展示ケースはこちら!
チャバネゴキブリ(Blattella germanica)
「チャバネゴキブリ」の展示には、柳澤さんがいる!?
知名度ナンバーワン!?かもしれない「チャバネゴキブリ」。彼らは、レストランや工場など、あたたかい場所が大好きなんです。さて、どこに隠れているか、わかりますか?
既視感…。
なんと、「ごきぶりホイホイ」の中にいました!まだ幼虫かな?
トルキスタンゴキブリ(Shelfordella lateralis)
「トルキスタンゴキブリ」の展示ケース。
外国から船に乗ってやってきた「トルキスタンゴキブリ」をイメージした展示。
波消しブロックやコンテナなど、ディスプレイへのこだわりが感じられますね。
トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea)
「トビイロゴキブリ」の展示ケース
名前のトビイロは、鳥のトビの羽色を表す「鳶色(とびいろ)」が由来です。
茶褐色の「トビイロゴキブリ」は、アース製薬さんから移籍してきたメンバー。
彼らが潜んでいそうな、道路脇を再現した展示になっています。奥には「ゴキブリ展」のポスターが!
クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)
「クロゴキブリ」の展示ケース。
ラストはG界の帝王「クロゴキブリ」。遭遇率の高い食器棚をモチーフにしているところがリアルです。どこに潜んでいるのでしょうか。
発見!
あ、いましたね。大好きな隙間に隠れていました!
ステップ3|ポップを読んで柳澤さんのゴキブリ愛を感じる
「ゴキブリ展」といえば、プロデューサー・柳澤さんが制作する、ゴキブリの紹介文(以下、ポップ)。秀逸なキャッチコピーと、ゴキブリ愛が込められたコメントは必読です。
ゴキブリの知られざる生態や魅力を、より知ることができますよ。
「マダガスカルゴキブリ(ラエビガータ)」(Elliptorhina laevigata)
「マダガスカルゴキブリ(ラエビガータ)」のポップ。
「おいしそう。」にすべてが込められたポップ。
ちなみに、柳澤さんはゴキブリアレルギーのため、食べられません!とのこと(笑)
生体はこちら。プリっとしてる?
コノハゴキブリ(seudophoraspis nebulosa)
「コノハゴキブリ」のポップ。
「幼虫はほとんど落ち葉」な「コノハゴキブリ」。
写真を見ると3種類いるのかと思いきや、上からメス、オス、幼虫。飼育されている園ならではですね。
この日はメスがいましたが、落ち葉かと思いました。
ハイイロゴキブリ(Nauphoeta cinerea)
「ハイイロゴキブリ」のポップ。
「たくさん増える」からおもしろいゴキブリ。
飼育員さんならではの視点ですね。増えるからおもしろい。。。
ここにいるよ。
マニアさんにはコレ!冬虫夏草と生物学用語集
「ゴキブリ展-5G-」には、生体だけでなく、標本や由来の品の展示も並びます。
ここでは、ゴキブリスト・柳澤さんセレクトの「マニア向け展示」をご紹介。
ゴキブリに寄生する「クチキゴキブリタケ」(標本)
「クチキゴキブリタケ」の標本展示。
2021年に新種記載された、クチキゴキブリ類に寄生する冬虫夏草の標本です。
ゴキブリに寄生する冬虫夏草は、とても珍しいそうで、こちらは世界で3種類目の記載となっています。
ゴキブリの名前の由来になった「生物學語彙」
「生物學語彙」。まさかの本!
ゴキブリの名前の由来になった「生物學語彙」の展示。1884年発行の日本で初めて作られた生物学用語集です。
「同じ本の中で、Blatta(ゴキブリ属)の訳はゴキカブリとなっていますが、Cockroach(昆虫綱ゴキブリ目)の訳がゴキブリに変わっています。おそらく誤植で「カ」が抜けてしまってゴキブリになってしまった。
その後、出版された本が「ゴキブリ」を使用したため、一般にも広まったと言われています」(柳澤さん)
Blatta(ゴキブリ属)の訳はゴキカブリとなっています。
【番外編】半分がオスで、半分がメス!?雌雄モザイクのゴキブリ
「マダガスカルゴキブリ」の成虫。白い方がオス、オレンジ色の方はメスの体になっています。
今回、特別枠としてモザイクタイプの「マダガスカルゴキブリ」も展示されています。
「昆虫ってなんでこういうことが起こるのかな?と興味を持ってもらえると嬉しい」という柳澤さんに、くわしくお伺いしました。

柳澤静磨さん
体にオスの部分と、メスの部分が両方ある、ちょっと変わったタイプになります。
色が体の真ん中で違っていて、白い方がオスで、ちょっとオレンジっぽい方がメスになります。
分かりやすく、分裂していますね!

ゴキラボ編集部・和田

柳澤静磨さん
表だけじゃなくて、お腹の方も分かれています。触角も。マダガスカルゴキブリは、オスは触角がフワフワしています。メスはそれがないのが、わかりますか?
左側がオスの触角(フワフワ)、右側がメスの触角
こういった状態は珍しいんでしょうか?

ゴキラボ編集部・和田

柳澤静磨さん
とても珍しいですね!
レッドローチやデュビアなど、飼育数の多いゴキブリだと、出ることはありますが、マダガスカルゴキブリの場合は、飼育数がそんなに多くないので、めっちゃ珍しいです。
それに元気に生きているのが、珍しいことで、けっこうすぐに死んでしまうんですよ。
体の半分で仕組みが違うので、バランスがおかしいため、動くのにも支障が出るんです。そういった個体が多いんですが、この子は長く生きていますね。
まとめ
推しゴキブリの靴箱にラブレターを投函。神7に選ばれるといいな!
今年で5年目を迎える「ゴキブリ展-5G-」。
展示されているゴキブリは、出身地や体の色、大きさも違っていて、その多様性に驚くはずです。
気になるゴキブリがいたら、ぜひ足を運んでみてください。彼らは「会えるゴキブリ」なので、間近で観察できますよ。
いろんなゴキブリが動いている姿に、思わず“じ~っ”と見入ってしまうはずです。
こんな感じでじっくりと観察!
お土産コーナーには「ゴキブリ展」グッズがたくさん!どれがいいかな~?
- Ophiocordyceps salganeicola, a parasite of social cockroaches in Japan and insights into the evolution of other closely-related Blattodea-associated lineages(和訳:日本産の社会性クチキゴキブリ類2種から同定された新種寄生菌オフィオコルディセプス・サルガネイコーラと近縁なゴキブリ目昆虫寄生菌類の進化に関する洞察)
著者:João P. M. Araújo*, Mitsuru G. Moriguchi, Shigeru Uchiyama, Noriko Kinjo,Yu Matsuura*
アラウージョJPM*(琉球大学・熱帯生物圏研究センター 外国人研究員,フロリダ大学),盛口満(沖縄大学 教授),内山茂(日本冬虫夏草の会),金城典子(日本冬虫夏草の会),松浦優*(琉球大学・熱帯生物圏研究センター 助教)*=責任著者
開催概要
開催期間 | 2022年2月5日(土)~2022年4月3日(日) |
---|---|
施設名 | 磐田市竜洋昆虫自然観察公園 |
開園時間 | 9:00~17:00(最終入園16:30) |
休園日 | 木曜日、年末(12/28~12/31)※祝日、正月(1/1~5)、GW(4/29~5/5)、夏休み(7/21~8/31)は全日開園 |
入園料 | 個人/330円(団体220円※20名様以上)、障がい者/110円、小・中学生/110円(団体50円)、障がい者/50円、幼児/無料 |
SNS | Twitter/Facebook |
住所 | 静岡県磐田市大中瀬320‐1 |
電話番号 | 0538-66-9900 |
アクセス | 土日のみ、磐田駅・豊田町駅から無料のシャトルバス運行中 |