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【実験】飛ぶ?泳ぐ?酔っぱらう?ゴキブリの身体能力をアース製薬・研究所で検証

投稿日:2020/4/21

一番身近な昆虫にもかかわらず、ゴキブリの生態はあまり知られていません。今回は、彼らの身体能力に迫る実験を行いました。飛ばしてみる、泳がせてみる、お酒を飲ませてみるなど、ゴキブリの意外な姿を動画と写真で見ていきましょう!

取材協力:アース製薬

ゴキブリの身体能力を確かめる!

約2.6億年も昔から生存しているゴキブリは、とても身体能力が高い昆虫です。
そのレベルを確かめたい! ということで、今回は
①飛ぶ能力
②泳ぐ能力
③アルコールへの反応

を検証していきたいと思います!

\ご協力いただいたのはこの方々/

アース製薬の野村野村拓志さん(左)と浅井一秀さん(右)の写真
研究開発本部 研究部 研究業務推進室 学術教育課 野村拓志さん(左)、研究開発本部 研究部 研究業務推進室 学術教育課 係長 浅井一秀さん(右)。

浅井一秀さん

ゴキブリを飛ばしたり、泳がせたり、お酒で酔わせるというのは、とてもユニークな実験だと思います。おもしろい結果が見られるのを、楽しみにしています

野村拓志さん

ゴキブリが飛ぶというのは、辻英明先生の本にも書かれていて、気になっていたんです。どれくらい飛ぶのか、どんな飛び方をしてくれるのか。期待しています!

実験1|ゴキブリは飛ぶ!?

ゴキブリは、家の中にいるだけで怖がられる存在です。それが「飛んでくる!」なんて、恐怖でしかないですよね。

しかし、ゴキラボ編集部は違います。ゴキブリが飛ぶ姿を見たい、できれば映像として残したい! そんなお願いを実現いただいたのが、この飛翔実験なのです。

浅井一秀さん

ゴキブリは種類によって飛ぶ、飛ばないがあります。クロゴキブリは、飛ぶというよりは、上から下に滑空する種類になりますね

野村拓志さん

ゴキブリは、地面から上に向かって飛翔するという報告もあります。ただ、条件として、気温の高さや湿度などが重要になります。そこを再現するのは難しいので、今回は滑空に的を絞り、実験したいと思います

【動画】特製タワーで実験!

浅井さんと野村さんが作ってくださった、「ゴキブリ専用の特製タワー」です。

この周りにクロゴキブリをセッティングし、滑空する様子を観察していきたいと思います。

クロゴキブリの飛翔実験を行うための実験装置の写真
「ゴキブリ専用の特製タワー」。

実験装置の中にクロゴキブリを投入する様子
クロゴキブリを投入!

桶に入れた直後、クロゴキブリたちはタワーにのぼり始めました。

どうやら、タワーにのぼることには興味津々の様子です。あとは、飛び立つまで待ちましょう!

実験装置のタワーのてっぺんクロゴキブリがいる様子
てっぺんで、場所取り争いシーンも見られました。

実験結果

3匹のクロゴキブリが、てっぺんを取り合っています。

実験装置のタワーのてっぺんでクロゴキブリが場所の取り合いをしている様子
クロゴキブリのおしくらまんじゅうが始まりました。

数分後、タワーのてっぺんにいたクロゴキブリが、飛び立ちました!

実験装置のタワーからクロゴキブリが飛び立つ瞬間
クロゴキブリが飛び立つ瞬間です!

浅井一秀さん

あ、飛びましたね! 飛び立つ瞬間にジャンプして翅を広げていたので、フワッと浮いたように見えました

クロゴキブリが滑空している様子
滑空する様子が分かります。

パラグライダーみたいに、翅を動かさず飛ぶのかと思っていたのですが、そうじゃなかったですね。翅を上下に動かして降りていきました。予想以上に移動したので、カメラからフレームアウトしてしまいました。屋外だと、木からベランダに飛び移るという話しもあるんですが、この様子なら大丈夫そうですね

ゴキラボ・和田

野村拓志さん

たしかにありえそうですね。実験に使ったクロゴキブリは、飼育しているものなので、野生とは若干飛ぶ力に差があるかもしれません。ほかの虫の話になってしまいますが、アカイエカという蚊は、飼育しているものより、野生の方が飛翔能力は高いというのを聞いたことがあります。ゴキブリでも、野外において飛翔能力の高さが生存に有利に働く可能性がありますし、野生の方がよく飛ぶということもあるかもしれません

ちなみに、クロゴキブリが滑空した距離は、約115cm (高さ46cm、横105cm)でした。今回の実験では、平均値をとっていないため、すべてのクロゴキブリがこの距離を滑空するとは言えません。

ただ、滑空するということは確認できました。

実験2|ゴキブリは水中を泳ぐ!?

「ゴキブリが泳ぐ」なんて聞くと、ゾッとしますよね。実は、家で見かけるクロゴキブリと飲食店や工場に多いチャバネゴキブリは、泳げることが明らかになっています。(三浦・田辺,2009)

水生昆虫のようにスイスイと泳ぐゴキブリ…。ちょっと想像がつきませんね。

彼らが本当に泳げるのか、どんな泳ぎ方をするのか見ていきましょう!

【動画】ガラス製のプールで泳がせる!

実験に使うのは、ガラス製の水槽です。水深約5cmになるように水をはっています。

クロゴキブリの泳ぎを見せてくれるのか!?

アース製薬の浅井さんがクロゴキブリをミニプールに入れる様子
クロゴキブリを水槽に入れる浅井さん。

実験結果

脚が水についた瞬間に、バタバタと泳ぎ始めました。“犬かき”ならぬ“ゴキかき”(笑)!さすがに進む方向までは、自分で決められないみたいですけど、想像以上に泳げています。というか、浮いている?

ゴキラボ・和田

浅井一秀さん

浮いていますね。クロゴキブリに限らずですが、彼らの体はワックスのような分泌物で覆われて、水をはじくんです。あと、体重も軽いので浮きやすいんですよ

クロゴキブリがミニプールに浮いている様子
水に浮くクロゴキブリ。

このままずっと泳ぎ続けることはできるんでしょうか

ゴキラボ・和田

野村拓志さん

ある程度、水に浸かっていると、呼吸器官である気門が塞がり、死んでしまうと思います

そうなんですね。ちょっと安心しました。ずっと泳げるとなると、本当にどこでも生息できそうですもんね

ゴキラボ・和田

クロゴキブリがミニプールで脚をバタバタして泳いでいる様子
脚をバタつかせるクロゴキブリ。

クロゴキブリは、水中昆虫のようにとはいきませんが、しっかりと泳げていました。彼らが泳げる理由は、体が水をはじき、浮きやすいということにあるみたいですね。ただ、長時間泳ぐことや進行方向を決めることはできないよう。そのため、必要に迫られて行う動きだと考えられます。

ゴキブリが泳げる仕組みについて詳しくは⇒『❓ゴキブリQ&A・飛ぶ?泳げる?なぜ速い?沖縄のGは大きい?』

実験3|ゴキブリは酔っぱらう!?

ゴキブリの好物を確かめる実験で、人気だったビール。さらに、日本酒も彼らの好みのようでした。どうやら、彼らはアルコールに目がないようです。

もしかして、人間のように酔って気持ちよくなっているのでは…。

そこで、ゴキブリは酔っぱらうのか実験してみることに!

果たして、彼らは酔って、千鳥足になってしまうのでしょうか。

【動画】ビールを飲ませてみると…

クロゴキブリを入れたケースにビールをかけていきます。

溺れないように、クロゴキブリの体が半分くらい浸る程度です。

プラスチックのケースに入ったクロゴキブリにビールをかける様子
クロゴキブリにビールをかける様子。

数分間、この状態で置きます。果たして、クロゴキブリは酔っぱらうのか!?

ビールに浸るクロゴキブリ
クロゴキブリがビールに浸かっています。

実験結果

ビールに浸ったクロゴキブリを白いケースに移動させた様子
ビールから取り出したクロゴキブリ。

浅井一秀さん

フラフラはしていないような気がしますね。翅をはばたかせているのは、乾かすためです

動きに変化は出ないですね

ゴキラボ・和田

浅井一秀さん

ゴキブリの体は、撥水効果はあるんですが、アルコールははじかないんですよ。ですので、度数は低いですがビールもアルコールなので、普通の水よりは浸透しているはずです

ということは、この状態だと酔っ払いはしてない? もっと度数の高いお酒を与えると、酔う可能性はありますか?

ゴキラボ・和田

浅井一秀さん

度数が高いと、浸透率も高くなります。酔うというよりも、おそらく溺れてしまうと思います

ゴキブリは、アルコールに酔わない! ということですね。酔っぱらったクロゴキブリ、ちょっと見てみたかったですね(笑)

ゴキラボ・和田

ゴキブリは、お酒で酔っぱらうことはないと考えられます。
しかし、味は好みのようなので、空き瓶や空き缶の管理には気を付けましょう!

まとめ

今回は、クロゴキブリの身体能力について実験してきました。

彼らは、


・滑空する

・泳げる

・お酒に酔わない

このことから、クロゴキブリの身体能力の高さをうかがうことができます。

約2.6億年も昔から現在まで生き残っているのには、こういった理由があるからなのかもしれませんね。

取材メモ

クロゴキブリが飛ぶという話はよく聞いていたのですが、実際に見たのは今回が初めてでした。目の前を滑空する姿に、思わず「すごい!」と歓声をあげてしまいました。

また機会があれば、気温が高いときに見られる「ぶんぶん飛ぶ姿」を、確かめたいと思うゴキラボ編集部なのでした。

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