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珍ゴキブリや害虫など約110種!アース製薬研究所の見学コースを取材

投稿日:2020/1/7

アース製薬の有吉立さん

アース製薬・赤穂研究所にある「生物飼育室」では、ゴキブリはもちろんノミやダニ、はたまたオオグソクムシまで、約110種類の生き物を飼育されています。そんな生物園さながらの飼育室を、害虫飼育のスペシャリスト・有吉立さんに案内していただきました。
取材協力:アース製薬

アース製薬の飼育室は生物王国!?

ゴキブリ専用飼育室がある「生物飼育室」の見学コースには、クロゴキブリをはじめ、屋内では見かけない珍しいゴキブリも展示されています。さらに、研究で使用されるノミやダニ、蚊などの害虫はもちろん、オオグソクムシやニジイロクワガタといったユニークな生き物まで、飼育しているというのだから、驚きです。
今回ゴキラボでは、その一部を見学させていただきました!

\案内してくれるのはこの方!/

アース製薬の有吉立さん
研究開発本部 研究部 研究業務推進室 生物研究課 課長 有吉立(ありよし りつ)さん。

約20年にわたり害虫の飼育を担当している有吉さん。2018年には、害虫の生態や飼育の経験談をまとめた著書「きらいになれない害虫図鑑」(幻冬舎)を出版されているほか、講演会にも登壇されている、害虫飼育のスペシャリストです!

【動画】珍しいゴキブリがゾクゾク

有吉立さん

約30種類いるゴキブリのなかから、選抜メンバーを紹介しますね!

生物園でもそれだけの種類を飼育しているところはないです。アース製薬さんのゴキブリ飼育にかける情熱を感じます!

ゴキラボ・和田

スーパーG!チャバネゴキブリ(抵抗性ゴキブリ)

チャバネゴキブリ(抵抗性ゴキブリ)の生体展示
チャバネゴキブリ(抵抗性ゴキブリ)の展示。

害虫ゴキブリの代表格・チャバネゴキブリ。こちらに展示されているのは、ただのチャバネゴキブリではなく、スーパーゴキブリ(抵抗性ゴキブリ)なのです!

有吉立さん

殺虫剤に対して抵抗性をもっているチャバネゴキブリを飼育しています。見た目では全く分からないので、抵抗性のあるものとないものを別々の部屋で飼育しています

抵抗性をもつチャバネゴキブリは、もたない個体よりも生命力が強いのでしょうか

ゴキラボ・和田

有吉立さん

薬剤に強いだけなので、生命力は感受性より弱いですね。抵抗性をもつチャバネゴキブリは、最後の脱皮をするまでの終齢期と呼ばれる期間が少し長くなります

抵抗性をもつチャバネゴキブリの生体展示
展示されているチャバネゴキブリ(抵抗性ゴキブリ)。

薬剤に対しての抵抗性は、永久的なものなのでしょうか

ゴキラボ・和田

有吉立さん

ずっと薬剤をかけて育てないと、世代をくり返していくほど、抵抗性は落ちていきます。というのも、抵抗性の有無は遺伝子で決まるんですね。感受性の方が、繁殖力が高いので、選抜をかけないと徐々に抵抗性の個体数が減少し、群れ全体の抵抗性は低下していきます

抵抗性がどんどん弱くなっていって、最終的にその遺伝子をもたない個体が生まれることはあるんでしょうか

ゴキラボ・和田

有吉立さん

それはないですね。しかし、ある程度まで抵抗性は落ちるので、薬剤をかけながら育てて、強い個体だけが残るようにしています

抵抗性ゴキブリについて詳しくは⇒『驚異の生命力!スーパーゴキブリ(抵抗性ゴキブリ)は殺虫剤が効かない!』

お馴染み!クロゴキブリ

ゴキブリの飼育室の様子
ゴキブリの飼育室。

有吉立さん

こちらはクロゴキブリを中心に飼っている飼育室です。ブルーのフタが付いているケースは全部クロゴキブリで、奥の方にあるピンクのケースはまた別のゴキブリを飼育しています

クロゴキブリを動画でチェック!

すごい数のケースがありますね! この中にクロゴキブリは何匹ぐらい入っているんですか?

ゴキラボ・和田

有吉立さん

成虫は400~500匹、幼虫だったら約1,000匹入っていますね。成長に応じて、数を調整するようにしています。クロゴキブリなどの害虫を成長段階に分けて飼育するのは、実験担当の研究員から注文が入った時に対応するためです

なるほど。生き物を管理するのは、そうとう大変そうですね。プロ意識の高さを感じます!

ゴキラボ・和田

クロゴキブリの生体展示
クロゴキブリの展示。手前にあるのは、有吉さんがペイントしたゴキブリのおもちゃ。

有吉立さん

クロゴキブリは江戸時代以降に害虫として家の中に入ってきたと言われていましたが、2016年に熊本大学の調査・研究で縄文時代の遺跡からクロゴキブリの卵の圧痕が発見されたんです。それまでクロゴキブリは、鎖国以降に海外から日本にきたとされていたのが、その発表によって約4300年以前に日本に渡来したか、あるいは、元々日本にいたか、どちらかになります

縄文時代から日本にいたってすごいですね

ゴキラボ・和田

クロゴキブリの飼育の様子
クロゴキブリの飼育風景。

有吉立さん

クロゴキブリの起源は中国と言われているんですが、実は現在、中国にはほとんどいません。生存確認がとれているのは、日本と台湾と北米ぐらいなんですよ

どこでも住めそうなのに、生息地域は限られているんですね

ゴキラボ・和田

有吉立さん

そうなんです。また、ゴキブリの起源は約3億年前と言われていたんですけど、2019年2月に筑波大学の発表で起源は2億年ぐらい前と修正されたんですよ

それでも私たち人類よりは歴史が古い。ゴキブリ先輩!

ゴキラボ・和田

ゴキブリがアート作品に!?

有吉立さん

これは、私が作ったクロゴキブリの樹脂標本です。触角や脚などを整えて、乾燥させてから、樹脂を何層かに分けて流し込んで作っています。一番小さい幼虫は、数mmしかないので、扱うのが大変なんですよ

触角や脚はもちろん、肢の毛までキレイに残っていて、すごくかっこいい! 今度、編集部で飼育しているクロゴキブリで試してみたいです!

ゴキラボ・和田

クロゴキブリの標本をアクリル樹脂で固めた展示品
幼虫から成虫までのクロゴキブリをアクリル樹脂で固めた樹脂標本。

チャバネゴキブリの標本をアクリル樹脂で固めた展示品
チャバネゴキブリの樹脂標本。幼虫がとても小さい!

有吉立さん

また、研究所に展示してある写真も私が撮影しています。だいたい一眼レフカメラで撮影していますが、マイクロスコープを使うこともありますね

アース製薬の有吉立さんが撮影したゴキブリの写真の展示
飼育しているゴキブリを撮影した写真。

有吉立さん

グリーンバナナローチやヒメマルゴキブリなどのほか、脱皮直後のゴキブリや肢の先端部分を拡大して撮っています。ゴキブリの肢には爪と吸盤の役目をする褥盤(じょくばん)と呼ばれるものが付いていて、これでペタペタと垂直な壁や木を登ることができるんですよ

アース製薬の有吉立さんが撮影した昆虫の写真の展示
ゴキブリ以外の生き物の写真もあります。

ゴキブリの標本をアクリル樹脂で固めた展示品
研究所の壁にもアクリル樹脂標本が飾られています。

シューっと鳴く!マダガスカルオオゴキブリ

マダガスカルオオゴキブリを動画でチェック!

有吉立さん

マダガスカルオオゴキブリはペット用のゴキブリです。威嚇や求愛の時に、「シューシュー」と鳴き声を出します

マダガスカルオオゴキブリの生体
触角がピンっとキレイに伸びたマダガスカルオオゴキブリ。

マダガスカルオオゴキブリの生体展示
マダガスカルオオゴキブリの展示。

飼育をされている中で、ペット用のゴキブリと害虫ゴキブリの違いなどを感じますか?

ゴキラボ・和田

有吉立さん

ワモンゴキブリやクロゴキブリは繁殖しやすいんですが、ペット用のゴキブリは人工繁殖が結構難しいんです。いろんな食べ物を与えて、試行錯誤しながら飼育しています。ゴキブリは雑食なので、なんでも食べますが、今までと違ったものを食べたがる傾向もあるみたいですね

美食家なんですね。好きな食べ物があったりするんでしょうか

ゴキラボ・和田

有吉立さん

リンゴなどの果物は好きですね。あと、ナスもよく食べます。輪切りにしてあげると、皮だけ残して食べていますよ。柔らかいからなのか、水分があるからなのか、好きな理由はわからないんですけどね

マダガスカルオオゴキブリの生体の飼育の様子
飼育ケースで育てられています。

カッコいい!ヤマトゴキブリ

ヤマトゴキブリの生体展示
ヤマトゴキブリの展示。

有吉立さん

ヤマトゴキブリのメスは、翅が短くて、これだけの長さしかないんですよね。反対に、オスは長い翅が生えています

ゴキブリのメスは翅が退化している種類が多いんでしょうか

ゴキラボ・和田

有吉立さん

オスの方が活動的で外に出るので、翅がある種類が多いですね。でも、クロゴキブリやワモンゴキブリのメスの翅は退化していないじゃないですか。なので、種類によって違うだけなのかなと思います

オスのヤマトゴキブリの生体展示
オスのヤマトゴキブリ。

?マークが目印!クエスチョンマークローチ

クエスチョンマークローチの生体

有吉立さん

これはハテナゴキブリと言われている、クエスチョンマークローチです

クエスチョンマークローチをこんなに近くで見るのは初めてです

ゴキラボ・和田

有吉立さん

実はこれ、お店でドミノローチという別の種類の名前で販売されていたんですよ。だからずっとドミノローチだと思って飼育していたんです。どうしてクエスチョンマークローチだと気付いたかというと、去年開催されていた特別展『昆虫』で展示されていたのを見たら、「あれ、違う」と(笑)

確かに似ていますもんね(笑)

ゴキラボ・和田

丸くなる!ヒメマルゴキブリ

体を丸めたヒメマルゴキブリの生体
丸まったヒメマルゴキブリ。

ヒメマルゴキブリ大好きです! 丸くなっても肢がちゃんと収まってないところとか、チャーミングすぎますね(笑)

ゴキラボ・和田

体を伸ばしたヒメマルゴキブリの生体
歩く姿はダンゴムシそっくりです。

有吉立さん

和田さんが手に持っているのはメスですね。オスは全然見た目が違っていて、翅が生えています

ヤマトゴキブリと同じですね。違う虫に見えちゃいます

ゴキラボ・和田

有吉立さん

トルキスタンゴキブリもオスとメスで色が違ったりするので、最初は違う種類だと思ったみたいですよ

小判型G!サツマゴキブリ

サツマゴキブリを動画でチェック!

サツマゴキブリはキレイな色をしていますよね

ゴキラボ・和田

有吉立さん

そうですね。サツマゴキブリの飼育には、土が欠かせないんですよ。紙だけで飼育していると、繁殖が上手くいかなかったりします

なるほど。結構繊細なんですね

ゴキラボ・和田

珍しい!キョウトゴキブリ

キョウトゴキブリを動画でチェック!

キョウトゴキブリ珍しいですね! 初めて実物を見ますが、そんなに大きくないんですね

ゴキラボ・和田

有吉立さん

チャバネゴキブリ科なので、そこまで大きくはないですね。チャバネゴキブリをひと回り大きくした感じでしょうか。ちなみに、キョウトゴキブリの卵鞘はちょっと曲がっているんですよ

キョウトゴキブリの卵鞘
キョウトゴキブリの卵鞘。

バナナっぽい。キョウトゴキブリの飼育は難しいですか?

ゴキラボ・和田

有吉立さん

そうですね。乾燥すると卵がかえらなかったり、幼虫が今ひとつだったりします

日本最大級の大きさ!ヤエヤママダラゴキブリ

ヤエヤママダラゴキブリの生体
八重山諸島に生息しているゴキブリ。

有吉立さん

これが日本で一番大きいと言われているヤエヤママダラゴキブリです

ほんと大きい! 翅が半透明でキレイです

ゴキラボ・和田

そのほか、グリーンバナナローチ、オレンジヘッドローチなども飼育していらっしゃいます。クロゴキブリやチャバネゴキブリといった害虫以外のゴキブリは、「見学に来られた方を喜ばせたい」という有吉さんはじめ研究員の方の思いで収集されているそうです。

ゴキブリ以外の害虫もラインナップ!

見学コースには、ゴキブリ以外の害虫も展示されています。命にかかわることもある感染症を媒介する蚊や、アレルギー反応を起こしてしまうダニなど、しっかりと把握して対策しましょう!

【動画】体長の約200倍ジャンプ!吸血ノミ

ネコノミを動画でチェック!

有吉立さん

動物や人間の血を吸うネコノミです。約20~30cmジャンプします。もし、彼らが私たちの身長ぐらいの大きさだったら、東京タワーぐらいジャンプしている計算になるんです。昔、動物や昆虫でオリンピックしようって番組があって、ジャンプ力はノミが一番だったんですよ

すごい脚力を持っているんですね! ノミはお布団などに付いているんですか?

ゴキラボ・和田

有吉立さん

ネコノミは動物の毛の中に潜んでいます。猫に付きやすいからネコノミ、犬に付きやすいからイヌノミ、人に付きやすいからヒトノミと言うんです。でも、今はネコノミが主流で、犬にもネコノミが付いています。ヒトノミは、今は絶滅危惧種でほとんど日本ではいないかもしれないですね。人間が清潔になってきて、棲めなくなってしまいました

ペットを飼っている人は、気を付けないといけないですね。それにしても、ノミにも絶滅危惧種がいるなんて、驚きです!

ゴキラボ・和田

デング熱やジカ熱を媒介する蚊

有吉立さん

虫ケア用品の開発のために使う、アカイエカ、ネッタイイエカ、ヒトスジシマカを飼育しています。どれも人の血を吸いにくる蚊です

蚊の生体展示
触角がモフモフしているのがオス、シュッとしているのがメス。

有吉立さん

名前にイエカと付くものは、夜間吸血性です。夜、耳元でブーンっていっているのは、本州ではアカイエカ、沖縄県ではネッタイイエカと言われています

同じ日本でも種類が違うんですね

ゴキラボ・和田

有吉立さん

デング熱やジカ熱を媒介するのがヒトスジシマカ。外にいて、家の中にはあまり入らない蚊です。ネッタイシマカも感染症を媒介しますが、今のところ日本にはいません。ただ、温暖化が進むと、入ってくる可能性があります。彼らは外と中を行き来する蚊なので、もし入ってくると、ヒトスジシマカより感染症を媒介しやすいです

以前、代々木公園でデング熱に感染した方が見つかって大変な騒ぎになりましたよね

ゴキラボ・和田

有吉立さん

そうですね。でも、翌年にはいなくなっていた。というのも、ヒトスジシマカは卵で越冬して、その卵からはウイルスが伝播されなかったからなんですよ。ただ、暖かい地域では、ずっと蚊がいて、デング熱が流行っています。気温が高いと越冬がないですからね

このまま温暖化が進んで、越冬がなくなってしまうと…恐ろしいことになりそうです!

ゴキラボ・和田

蚊の生体展示の様子
蚊の展示。

有吉立さん

あと、2020年のオリンピック開催時も注意が必要です。デング熱のウイルスを持っている人が来日した場合、その人の血を吸った蚊が、ウイルスを媒介する可能性があります。海外から多くの人が訪れるというのは、そういったリスクを伴うんです

オリンピックだからといって、浮かれている場合じゃないですね

ゴキラボ・和田

有吉立さん

予防策としては、蚊に刺されないようにするしかない。虫よけ剤を塗って、予防することが大切です。日本人は、蚊に刺されて病気になったことがないので、あんまり危機感がありません。蚊に刺されてウイルスに感染することを知らない人が多いので、大変なことになってしまうかもしれません

確かに、蚊に刺されると赤くなって痒みが出る、くらいにしか思っていなかったです

ゴキラボ・和田

有吉立さん

また、海外旅行も気を付けた方がいいですよ。渡航時にマラリアやデング熱に感染して帰国する人もいるんですよ

え、怖い…

ゴキラボ・和田

有吉立さん

しかも、風邪に似た症状なので、普通の病院だと感染に気が付かないことがあるんです。国立国際医療研究センターでは、そういった症状の患者さんが来院した場合、「1年以内に海外のどこ行かれましたか?」と聞くようにと、働きかけているそうです

O157など食中毒の原因になるハエ

有吉立さん

大型はイエバエとセンチニクバエ、小型はキイロショウジョウバエやノミバエなどを飼育中です。大型のハエは衛生害虫なので、彼らがたかったものを食べると食中毒になる危険性があります。また、イエバエはO157を運びます

ハエで食中毒になってしまうんですね。気を付けないと!

ゴキラボ・和田

ハエ類の展示の生体様子
ハエ類の展示。

有吉立さん

でも、日本からは大型のハエは減ってきています。トイレが、汲み取り式から水洗になったり、生活エリアの衛生状況が向上したのが理由です。その代わりに、コバエと総称される小型のハエが目立つようになってきています

言われてみると、大型のハエはあまり見かけなくなった気がします。そういった理由があったんですね

ゴキラボ・和田

食品メーカー泣かせの貯穀害虫

有吉立さん

ノシメマダラメイガとタバコシバンムシは、異物混入の原因になりやすい貯穀害虫です

ノシメマダラメイガやタバコシバンムシの生体展示の様子
ノシメマダラメイガやタバコシバンムシの展示。

有吉立さん

どちらも噛み破る力が強いので、工場で混入していなくても、家で保管しているときに入ってしまうことがあります。しかも、ノシメマダラメイガはサナギになるときに、すごく移動して、居心地のいい場所でサナギになるんです。ですので、どこで入ったのか分からない。メーカーさん泣かせの害虫です

侵入経路が分からないと、防ぎようがないですもんね。購入者さんからすると、発見したらメーカーさんに問い合わせするしかない…

ゴキラボ・和田

有吉立さん

実は、私も経験があります。家でタバコシバンムシがブーンって飛んでいるなと思って、発生源を調べたら、ドライフラワーが原因でした。そのあと、長期保存していたチョコレートを割った瞬間にタバコシバンムシの幼虫が出てきて、こんなところに卵を産んでたんか~!って(笑)

ヒェ~!!! 私だったらひっくり返りそう!

ゴキラボ・和田

ヒラタコクヌストモドキとコクゾウムシの生体展示の様子
ヒラタコクヌストモドキとコクゾウムシの展示。

有吉立さん

これはお米にわくコクゾウムシです。鼻が長いことから、ゾウムシと呼ばれています。ゾウは鼻の根元に口がありますが、ゾウムシは鼻の先に見えるところに口があるんです。1粒のお米の中に1匹入っていて、幼虫になるとそこから出てきます。幼虫は餌となるお米の中で生まれる、餌を探す必要がなく、脚が退化しているんですよ

お米から出てくるコクゾウムシの生体展示
お米から出てきたコクゾウムシ。

お米の中で育つんですね。おもしろい! でも、ご飯を食べていて幼虫が出てきたら、ちょっと嫌ですね…

ゴキラボ・和田

洋服大好き!衣類害虫

有吉立さん

ヒメカツオブシムシやコイガは、衣類に穴をあけてしまう害虫です。彼らは選別能力があって、化繊とウールなら、必ずウールに卵を産みます。そして、ウールとカシミアだったらカシミアに多く産むそうです。理由は、ウールやカシミアに含まれる動物質のものにあります。彼らは、幼虫から成虫になるときに、そういったコレステロール系の栄養が必要になるんです

高級志向なのには、ちゃんと理由があるんですね。でも、タンスやクローゼットの中にどうやって忍び込むのか、いつも不思議なんですよね

ゴキラボ・和田

有吉立さん

これらの成虫は春先から夏にかけて外を飛んでいます。それが、干している洗濯物などに付いて家の中に入ってきてしまったり、普通に歩いていても付いてきて家の中に入ってきてしまったりするんです

洗濯物はよく確認してから取り込むようにします!

ゴキラボ・和田

有吉立さん

ちなみ、彼らはウールを食事する以外にも利用します。口を使って繊維を1本ずつ取り出して、紡いで、自分の住処を作るんですよ。これは弊社のピレパラアースを入れたものと、そうでないものになります。同じウールを入れたんですけど、入れてない方はすぐに食べられちゃいました

ピレパラアースを入れたプラスチックケース(左)と入れていないプラスチックケース(右)
ピレパラアースあり(左)とピレパラアースなし(右)。

繊維を紡いで作られた赤い毛玉
ピレパラアースなしのアップ。繊維を紡いで作られた赤い毛玉。

ピレパラアースなしの方のフタ付いている、赤い毛玉がそれですね! 可愛いけど、迷惑なヤツですね……。それにしてもピレパラアースの効果がすごい!

ゴキラボ・和田

見た目は悪いが、人の役に立つ不快害虫

有吉立さん

こちらは、不快害虫のムカデ、ゲジ、ダンゴムシ。不快害虫はすごい見た目が嫌な虫なんですけど、実は益虫でもあるんです。ムカデにいたっては、ゴキブリを食べてくれます

トビズムカデの生体展示の様子
トビズムカデの展示。

ゴキブリを食べてくれたとしても、咬むので怖いですね

ゴキラボ・和田

有吉立さん

実は、ムカデはわざわざ人を咬みに行くことはないんですよ。たまたま手や足に当たってパクっとしちゃうだけなので。当たらなければ何もしないですし、ムカデが無害だと思っていれば手に乗せても平気です

そうなんですね! ムカデのことを誤解していました

ゴキラボ・和田

有吉立さん

ダンゴムシも嫌われている人からは嫌がられている虫なので、一応害虫になります。ダンゴムシは増えにくくて成長が遅いんです

ダンゴムシの生体展示の様子
ダンゴムシの展示。

ダンゴムシは私の自宅の花壇にめちゃくちゃいます

ゴキラボ・和田

有吉立さん

欲しいです(笑)。ダンゴムシは園芸害虫でもあるので、新芽などを求めて花壇にいるのかもしれないですね

“虫ケア用品”の効力実験を行うために飼育されている害虫は、まだまだたくさんいます。例えば、特定外来生物に指定されているセアカゴケグモやアルゼンチンアリ。とくに、セアカゴケグモは日本全国に分布していて、発見されていないのは秋田、青森、長野の3県だけなんだそうです。危険な害虫から身を守るためにも、“虫ケア用品”を常備しておくに越したことはないということですね。

かわいい・かっこいい生き物もゾクゾク!

研究所には、「見学者を楽しませたい」という研究員の方々により集められた、珍しい生き物がたくさんいます。いったいどんな生き物にあえるのか、ワックワク!

オオグソクムシ

オオグソクムシの生体展示
駿河湾産のオオグソクムシ。

有吉立さん

このオオグソクムシは、2年ほどご飯を食べていないのに生きています。静岡県・駿河湾の漁師さんに送っていただいたものです。飼育すると伝えていたのですが、食べるエビのような状態で氷の中に埋もれて、発泡スチロールに入れられてやってきたんです(笑)

その姿を想像すると、ちょっとかわいそうですね(笑)

ゴキラボ・和田

ニジイロクワガタ

ニジイロクワガタの生体展示
作り物かと見間違えそうな色をしたニジイロクワガタ。

有吉立さん

このメタリックな色をしたのは、ニジイロクワガタです。オーストラリア原産になります

これ、生きているんですよね。こんな色の昆虫、見たことないです。かっこいい!

ゴキラボ・和田

タランチュラ

メキシカンレッドニーという種類のタランチュラの生体展示
メキシカンレッドニーはゴージャスな見た目をしています。

有吉立さん

メキシカンレッドニーっていう毒の弱いタランチュラもいます。これが脱皮殻で、触っても大丈夫ですよ

軽くてフワフワ! すごい手触りがいいです

ゴキラボ・和田

メキシカンレッドニーという種類のタランチュラの抜け殻
メキシカンレッドニーの脱皮殻。

世界の珍しい生き物と触れ合っていると、有吉さんから「これはスズメバチの巣です」と差し出されたのがコチラ!

スズメバチの巣
直径約50cmはあろうかという大きなスズメバチの巣!

これ、すごい! どうやって採ってきたんですか?

ゴキラボ・和田

有吉立さん

ハチ用の商品開発に携わっている研究員が、見つけて採ってきてくれました。ちゃんと駆除をして持ってきてくれたはずなんですが、ここに来てからも1匹スズメバチが出てきましたよ(笑)

それは恐ろしい(笑)。間近で見ると、洞窟みたいで迫力がありますね

ゴキラボ・和田

有吉立さん

木のかけらなどで巣を作っているので、木の色が出ているだけなんですけど、いい感じの模様になっていますよね。研究所では、この応用編のような感じで、アシナガバチに色画用紙を与えて、色付きの巣を作ったりしているんですよ

スズメバチが折り紙で作った巣
アシナガバチが色画用紙で作った巣。

これスゴイ! ちゃんと巣になるんですね。おもしろい! こんなユニークなことをやっているのは、アース製薬さんぐらいじゃないですか。こういった遊び心が、新しい商品の開発につながっていくということですね

ゴキラボ・和田

まとめ

アース製薬の研究所を見学して感じたのは、害虫といえども、その生態を知れば知るほど「憎めないなぁ」ということでした。お米に付くコクゾウムシも、カシミアを食べてしまう衣類害虫も、ユニークで魅力的な生き物なのです。まさに、有吉さんの著書のタイトル通り「きらいになれない害虫図鑑」! 

「きらいになれない害虫図鑑」(幻冬舎)
「きらいになれない害虫図鑑」(幻冬舎)。害虫のユニークな生態や飼育エピソードが満載です。

取材メモ

「生物飼育室」の見学コースは、2019年9月にリニューアルされており、今回はその前に取材させていただいた時の様子をご紹介しています。

リニューアル後の見学コースにもお伺いさせていただいたのですが、これがまた「ものすごい!」のです。次回は、よりスケールアップした見学コースを取材レポートしたいと、意欲満々なゴキラボ編集部・和田なのでした。

アース製薬さんにご協力いただいた記事一覧はこちら

リニューアル後の見学コースに設置された顔出しパネルで写真を撮影する様子
リニューアル後の様子。「アースジェット」にやられる蚊という、アース製薬さんならではの顔出しパネルがお目見え!

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