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最新研究が解き明かす!ゴキブリの起源は3億年前ではなかった!?

投稿日:2019/2/19

起源が変わったと説明するごきた博士

2019年2月1日、筑波大学から興味深い研究結果が発表されたんじゃ。そこには、「ゴキブリの起源は意外と新しかった!」という見出しがある。ゴキブリの起源といえば、約3億年前以上の古生代石炭期だとされてきたんじゃが、それが違うということなのか……。研究概要を簡単に解説しよう。

ゴキブリはいつ出現したの?

筑波大学HP
筑波大学HPより
リリースされたのは、筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所の町田龍一郎教授と藤田麻里氏(現 筑波大学社会連携課SKIP事務局)を含む、世界7カ国、17研究機関の研究者20名からなる研究グループによる研究。現生の66種の昆虫約2,400の遺伝子解析を行い、系統ならびに行動に関する各形質の祖先状態を検証し、進化変遷を推論した結果が発表されました。

2019年2月1日に筑波大学が発表した上記の研究においてゴキラボが特に注目したのは、ゴキブリの起源は約3億年前ではなく、「約2.6億年前」であるという結果です。

これまでゴキブリは、3億年以上前の古生代石炭紀に出現したとされてきました。現生のゴキブリよりも翅が大きく、産卵管を持つものをゴキブリの祖先としてきたわけですね。

ゴキブリの祖先とされてきた昆虫の前翅
ゴキブリの祖先とされてきた昆虫の産卵管

ゴキブリの祖先とされてきた昆虫の例

ところが、研究によると、これらの昆虫はゴキブリとはいえない、ゴキブリともカマキリとも判然としない状態の昆虫であるということ。そして、「これはゴキブリである」といえる昆虫が現れたのが約2.6億年前の古生代ペルム紀である、ということなのです。

約2.6億年前にゴキブリとカマキリが枝分かれした

筑波大学によると、ゴキブリの起源については、以下の3つの結論が研究成果としてリリースされています。

  1. ゴキブリ目とカマキリ目はおよそ2億6000万年前の古生代ペルム紀に分岐した
  2. 現生のゴキブリ目の起源はおよそ2億年前の中生代三畳紀に遡る
  3. ゴキブリ目内の現生主要グループの分岐は1憶5000万~6600万年前の中生代白亜紀に起こった

ゴキブリの起源を説明した年表

それぞれについて、少し詳しく見ていきましょう。

1. ゴキブリ目とカマキリ目はおよそ2億6000万年前の古生代ペルム紀に分岐した

ゴキブリは、ゴキブリ目(ゴキブリ類+シロアリ類)というグループに分類されている昆虫です。ゴキブリ目はカマキリ目と近縁で、合わせて「網翅類(もうしるい)」と呼ばれています。
これまでは、ゴキブリ目とカマキリ目がいつ分岐したのかがはっきりとしていなかったのですが、今回の研究によって2億6000万年前の古生代ペルム紀だと判明したというわけですね。

2. 現生のゴキブリ目の起源はおよそ2億年前の中生代三畳紀に遡る

ゴキブリ目とカマキリ目との分岐は約2.6億年前の古生代ペルム紀に起こりましたが、その頃のゴキブリ目は、現生のゴキブリのような姿ではありませんでした。「ゴキブリ」と見分けられる種が現れるのは、それから6000万年ほど経った、今から約2億年前の中生代三畳紀の頃であるということがわかりました。

3. ゴキブリ目内の現生主要グループの分岐は1憶5000万~6600万年前の中生代白亜紀に起こった

やがて、ゴキブリの多くの系統が爆発的に出現し、現在に続く主要グループの分岐は1憶5000万~6600万年前の中生代白亜紀に起こったことがわかったのです。

以下は、ゴキブリ目の主要グループの例です。
※分類体系にはさまざまな説があります。

  • ゴキブリ科(ワモンゴキブリ・コワモンゴキブリ・クロゴキブリ・ヤマトゴキブリなど)
  • ホラアナゴキブリ科(ホラアナゴキブリなど)
  • ムカシゴキブリ科(ルリゴキブリなど)
  • オオゴキブリ科(オオゴキブリ・マダガスカルゴキブリなど)
  • チャバネゴキブリ科(チャバネゴキブリ・ヒメチャバネゴキブリ・モリチャバネゴキブリなど)

クロゴキブリやチャバネゴキブリといった私たちになじみのある種類は、中生代白亜紀(1憶5000万~6600万年前)に出そろったというわけじゃな。


ゴキブリ対策が進歩するかも……?

今回筑波大学を含む研究グループが発表した研究結果は、RNAの解析やゲノム解析といった分子データだけではなく、化石情報、20におよぶ形態や行動に関するデータを統合して導かれた成果であるため、信頼度は極めて高いとされています。

一見すると、ゴキブリの分類や進化の道筋、生態は私たちの暮らしには関係がない話題のように思えますが、まさにこれが「ゴキブリとはどのような昆虫なのか」の理解につながり、今後のゴキブリ対策の進歩となるのです。
また、世界に約4000種以上存在するといわれる多様なゴキブリに関する研究が進むことは、私たちの暮らしを支えてくれている生態系への理解が進むということ。ゴキラボはこれからも、最新の研究をウォッチしていきます!

ゴキブリの名前の由来について詳しくは⇒『ゴキブリの語源と名前の歴史:実は御器噛(ゴキカブリ)が正式名称だった?』

古代と現代のゴキブリの違いなどについて詳しくは⇒『ゴキブリの歴史・いつ誕生したの?古代のゴキブリからどう進化した?』

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