殺虫剤有効成分の効果と特長(ピレスロイド系、有機リン系、忌避剤など)

投稿日:2020/5/19

殺虫剤の有効成分には、たくさんの種類があります。速効性に特化したもの、効果の持続性が優れているものなど、その作用はさまざまです。また、有効成分によって効果を発揮しやすい害虫も違ってきます。一般的な有効成分の特長や効果をチェックしましょう!

ピレスロイド系殺虫成分一覧(特長・効果)

シロバナムシヨケギク(除虫菊)の写真
シロバナムシヨケギク(除虫菊)。

「ピレスロイド」とは、除虫菊の花に含まれている天然殺虫成分ピレトリンと、それに似せて作られた化合物のことを指します。実に多くの化合物が開発されており、スプレー式駆除剤をはじめ、蚊取り線香やくん煙剤などに使われているのです。私たちの生活に一番身近な有効成分といえるでしょう。
「ピレスロイド」には、昆虫の神経を麻痺させる作用があります。主な効果は下記です。

 主な効果
  • 速効性
  • 忌避効果(虫よけ効果)
  • 追い出し効果(フラッシングアウト)

「ピレスロイド」は、人体への毒性は非常に低く、安全性に優れた有効成分です。万が一、体内に入っても、速やかに分解され、短時間のうちに排出されます。また、駆除剤に使用される殺虫成分は微量のため、昆虫に比べて体が大きい人間への影響は少ないと考えられるのです。ただし、魚類に対する毒性は高いため、観賞魚を飼育している場合は、使用に注意しましょう。

「ピレスロイド」について詳しくは⇒『ゴキブリ退治・スプレー式駆除剤(殺虫剤/凍結/泡)の成分・効果・安全性』

一般名特長
ピレトリン/(除虫菊エキス)(pyrethrin)シロバナムシヨケギク(除虫菊)から抽出された天然の殺虫成分。速攻性があり、さまざまな害虫に効果があります。効果の持続性には期待できません。蚊取り線香やスプレー式駆除剤など、用途が幅広いのも特長です
アレスリン(allethrin)速効性に優れているのが特長。ピレトリンと比べ熱に対する安定性が高いため、蚊取り線香や電気香取の有効成分として使われています。近年では、より効果の高いdl·d-T80-アレスリン(アレスリンの幾何・光学異性体)へと変わってきています
イミプロトリン(imiprothrin)ゴキブリをノックダウン(苦痛でひっくり返す)するのに特化した有効成分。速攻性が高く、ゴキブリ用のスプレー式駆除剤によく使われています
エムペントリン(empenthrin)コイガやヒメカツオブシムシなど、衣類害虫への防虫・殺虫効果があり、常温で蒸発する性質をもっています。また、産卵抑制効果も高いです。主に衣料用防虫剤の有効成分として使われています。ほぼ無臭
シフェノトリン(Cyphenothrin)効果が長期間持続するのが特長です(残効性)。ゴキブリ用スプレー式駆除剤や燻煙剤の有効成分として使われています
シフルトリン(cyfluthrin)ゴキブリからハエ、蚊まで、幅広い害虫に効果を発揮します。シフルトリンを有効成分にした殺虫剤「レスポンサー(R)水性乳剤」には、ゴキブリに対して忌避効果とノックダウン効果の持続が確認されています
トランスフルトリン(Transfluthrin)常温で蒸発する性質をもつ有効成分です。蚊、コイガ、チャバネゴキブリなどの害虫に対して、優れたノックダウン効果及び殺虫効果を示します。用途は、スプレー式駆除剤や電気蚊取り
ビフェントリン(Bifenthrin)速攻性が高く、残効性に優れています。シロアリ、農業害虫に使う殺虫成分として用いられることが多いです
フェノトリン(phenothrin) ほかのピレスロイド系殺虫成分と比べると、蚊、イエバエ、ゴキブリに対しての速効性は低いです。ただし、ノックダウンした虫は高い確率で死にます。 ゴキブリ用エアゾール、くん煙剤、全量噴射式エアゾール、粉剤など、広範囲の殺虫剤に用いられている有効成分。残効性が高いのも特長です
フタルスリン(phthalthrin)ピレスロイド系殺虫剤の中でも速攻性があり、ノックダウン効果が優れています。致死効果、残効性は低いです。ゴキブリ、ハエ、蚊用のスプレー式駆除剤の有効成分として使われています
フラメトリン(Furamethrin)加熱すると、気化して大気中によく拡散するのが特長です。また、速効性にも優れているため、蚊取り線香や電気蚊取りの有効成分として使われています
プラレトリン(Prallethrin)加熱すると、気化して大気中によく拡散するのが特長です。また、速効性にも優れているため、蚊取り線香や電気蚊取り、スプレー式駆除剤の有効成分として使われています
プロフルトリン(profluthrin)コイガやヒメカツオブシムシなど、衣類害虫への防虫・殺虫効果があり、常温で蒸発する性質をもっています。また、産卵抑制効果も高いです。衣料用防虫剤の有効成分として使われています
ペルメトリン(permethrin)ゴキブリに対する致死効果が高い有効成分。効果の持続性も優れています。用途は、ゴキブリ用のスプレー式駆除剤、くん煙剤、全量噴射式エアゾールなど
メトフルトリン(metofluthrin)蚊に対して、高いノックダウン効果と致死効果がある有効成分。さらに、忌避活性、吸血阻害活性も確認されています。常温でも自然蒸散する性質を生かし、ファン式蚊取りや空間用虫よけ剤(樹脂蒸散剤)に用いられています。そのほか、電気蚊取り、スプレー式駆除剤、ワンプッシュ式スプレー式駆除剤など用途は幅広いです
レスメトリン(resmethrin)ハエ、蚊、ゴキブリに対しての致死効果が優れています。他のピレスロイドと比較すると速攻性は高くありません。そのため、ノックダウン効果が優れているフタルスリンと合わせてスプレー式駆除剤などに用いられます
モンフルオロトリン(Momfluorothrin)イエバエとゴキブリに対して、優れたノックダウン効果をもちます。またノックダウン後、昆虫の動きが速やかに静止するというのも特長です。動きを止めるという特性を生かし、ハチなどの危険な害虫用のスプレー式駆除剤に使われいます
エトフェンプロックス(etofenprox)ピレスロイド様の殺虫成分。広範囲の害虫に高い殺虫効果があります。有機リン剤、カーバメート剤に対し抵抗性があるウンカ、ヨコバイ類にも使えます。速効性、残効性があり、魚毒性は低いです

有機リン系殺虫成分一覧(特長・効果)

昆虫の神経の働きを阻害することで、効果を示す有効成分です。人体への毒性は非常に低く、体内に取り込まれたとしても速やかに分解され、短時間のうちに排出されます。

一般名特長
ジクロルボス/DDVP(dicrohorvos) 揮発性が高く、残効性が少ないため、樹脂蒸散剤の有効成分として用いられています。また速攻性にも優れ、少ない量で効果を発揮するのも特長です。ジクロルボスを有効成分にした「バポナ 殺虫プレート(アース製薬)」は、ハエ、蚊、ゴキブリに対して殺虫効果が確認されています
フェニトロチオン(fenitrothion) ハエ、蚊、ゴキブリ、ダニなどの幅広い衛生害虫の対策に効果があります。速攻性は期待できませんが、効果の持続性に優れている有効成分です。毒性が低いのも特長
フェンチオン(fenthion) ハエやゴキブリなど、各種衛生害虫に効き目があります。とくに蚊の幼虫(ボウフラ)と成虫に対して効果が高いです。効果の持続性にも優れています
トリクロルホン/DEP(trichlorfon) ゴキブリ、ハエ用のベイト剤(毒餌剤)の殺虫成分として使われてきた有効成分です。魚類への毒性が低いため、観賞魚用の害虫駆除剤に使われることがあります
プロペタンホス(propetamphos) ゴキブリ、蚊、ハエ、ダニ用殺虫剤の有効成分です。有機リン剤抵抗性の害虫にも効果を発揮します。またゴキブリに対する忌避効果が低いことも特長のひとつです
ダイアジノン(Diazinon) ゴキブリ、ハエ、蚊などに効果を発揮する有効成分。速効性があり、効果も長期間持続します
ピリダフェンチオン(Diazinon) 蚊、ハエ、ゴキブリを使った実験では、従来の有機リン系殺虫成分に比べると、効果が出るのが遅いという結果が出ています。ただ、殺虫剤としての効力は有効です。エイバエとチャバネゴキブリに対しては、効果の持続性に優れています

有機ケイ素系殺虫剤(特長・効果)

一般名特長
シラフルオフェン(silafluofen) 衣料害虫から不快害虫まで、さまざまな種類に効果を発揮する有効成分です。ピレスロイド系殺虫成分に比べるとやや効き目が遅いですが、残効性に優れています。また、ピレスロイド抵抗性イエバエに有効。魚類への毒性が低いのも特長です

アミジノヒドラゾン系一覧(特長・効果)

一般名特長
ヒドラメチルノン(Hydramethylnon) ゴキブリ用ベイト剤(毒餌剤)として開発された有効成分。あらゆる種類のゴキブリ(成虫・幼虫)に、殺虫効果を発揮します。彼らの呼吸器系にダメージを与えることで効力を示し、効果が表れるのは3日前後です。また人に対しては安全性が高いのも特長

フェニルピラゾール系(特長・効果)

一般名特長
フィプロニル(fipronil) 有機リン系、ピレスロイド抵抗性害虫に対する殺虫効果が優れています。用途は、ゴキブリやアリ用のベイト剤(毒餌剤)。神経系を阻害し、1日前後で効き目が現れます

ホウ酸団子系(特長・効果)

一般名特長
ホウ酸 「ほう酸ダンゴ」でお馴染みの有効成分。消化器系をはじめ、さまざまな器官へダメージを与えることで死に至らしめます。効果が表れるまでは数日~半月と遅いものの、他の殺虫成分に比べて抵抗性が生じにくいです

オキサジアゾール系(特長・効果)

一般名特長
メトキサジアゾン(Metoxadiazone) ピレスロイド系殺虫剤分に抵抗性をもつゴキブリやトコジラミ(ナンキンムシ)に対して致死効力をもつ有効成分。ペルメトリンやフェノトリンなどと混合して使われることが多いです。用途は、くん煙剤や加熱蒸散剤、スプレー式駆除剤など

IGR(昆虫成長阻害成分)一覧(特長・効果)

昆虫の脱皮や変態を抑制し、成虫の発生を予防する有効成分です。ピレスロイド系殺虫成分や有機リン系殺虫成分に対して抵抗性をもつ害虫にも効果を発揮します。殺虫効果はありません

一般名特長
メトプレン(methoprene) 蚊やハエの幼虫に対して、成長抑制効果がある有効成分です。ボウフラやウジの発生地に散布しすると、成虫の発生を防ぐことができます。ただし、サナギにならずに成虫になる不完全変態の昆虫やダニには効果がありません。人間はもちろん、魚類への安全性は高いのが特長です
一般名特長
ピリプロキシフェン(pyriproxyfen) 蚊やハエの幼虫に対して、成長抑制効果がある有効成分です。ボウフラやウジの発生地に散布しすると、成虫の発生を防ぐことができます。ただし、サナギにならずに成虫になる不完全変態の昆虫やダニには効果がありません。人間はもちろん、魚類への安全性は高いのが特長です
一般名特長
ジフルベンズロン(diflubenzuron) 昆虫の脱皮を阻害し、幼虫の段階で死なせることができます。ゴキブリの幼虫にも効果はありますが、実用化はされていません。主には不快害虫用殺虫剤の有効成分として、使われています。

ネオニコチノイド系一覧(特長・効果)

「ネオニコチノイド 」とは、タバコに含まれるニコチンと似た構造をもつ化合物のことです。ピレスロイド系殺虫成分、有機リン系殺虫成分、カーバメート系殺虫成分に抵抗性をもつ害虫にも効果があります。忌避効果は低いため、シロアリ防除剤に使われることが多いです。人体への安全性も高いとされています。

一般名特長
イミダクロプリド(imidacloprid) 有機リン剤、カーバメート剤、合成ピレスロイド剤に抵抗性をもつ害虫に効果があるのが特長です。速効性と殺虫効果があり、とくに半翅目と鞘翅目昆虫に対しては優れて効果があります。また、「イミダクロプリド」を有効成分にしたベイト剤を使った実験では、ゴキブリへの殺虫効果も認められています
クロチアニジン(clothianidin) 農業分野の害虫に対して殺虫効果があります。とくに、鱗翅目、双翅目などに対する効果が高いです。そのほか、有機リン剤、カーバメイト剤、ピレスロイド剤、IGR剤(昆虫成長阻害成分)に抵抗性をもつ害虫にも有効。また、シロアリ類やノミ類に高い効果が認められています
アセタミプリド(Acetamiprid) 他のネオニコチノイド系化合物と比べ、鱗翅目害虫に高い殺虫効果を示すのが特長です。また、シロアリに対しての殺虫効果も優れています
チアメトキサム(Thiamethoxam) シロアリに対して、優れた速効性をもつ有効成分です、また、致死効果と効果の持続性もあります。忌避性はなし

カーバメート(カーバメイト)系殺虫成分一覧(特長・効果)

昆虫の神経に作用することで、殺虫作用を示します。ピレスロイド系殺虫成分に抵抗性のある害虫の駆除に使われます。 主な適用害虫は、ヤスデ、アリ、ダンゴムシ、ワラジムシ、ハサミムシ、ムカデ、ヤマビルなどの不快害虫。

一般名特長
フェノブカルブ(BPMC) 昆虫の体に接触することで、致死効果を発揮します。効果の持続性は低いです
プロポクスル(propoxur) 不快害虫をはじめ、さまざまな害虫に効果を発揮。ゴキブリやノミ、トコジラミ(ナンキンムシ)に速効性と効果の持続性があります。
カルバリル(Carbaryl) ヤスデやムカデなどに優れた効果があります。ミミズやミツバチ、水棲昆虫への毒性があるため、取り扱いに注意が必要です

忌避成分一覧(特長・効果)

蚊、ノミ、シラミ、ダニなど、吸血害虫を寄せ付けない効果がある有効成分が代表的です。 そのほか、虫よけ効果のある香料や、衣料害虫よけに使われているピレスロイド系殺虫成分「エムペントリン」なども含まれます。
ここでは、主に人体に直接散布して使われている有効成分を紹介。

一般名特長
ディート(DEET) 蚊よけ商品によく使われている有効成分。蚊やノミ、イエダニ、ブユ(ブヨ)などの吸血害虫のほか、ツツガムシやゴキブリに対しても高い忌避効果が期待できます。殺虫効果はありません。
皮膚への刺激は比較的少ないですが、生後6カ月未満の赤ちゃんへの使用は禁止されており、 12歳以下の子供に対しては1日の使用回数に制限があります
イカリジン(Icaridin) 2015年に人体用忌避剤として薬事登録が認められた虫よけ成分。蚊、ブユ(ブヨ)、アブ、マダニなどに対して「ディート」と同様以上の忌避効果が認められています。「ディート」との大きな違いは、使用上の注意点。「イカリジン」は乳児から大人まで使用可能で、使用回数に制限がありません

殺虫補助成分一覧(特長・効果)

殺虫成分の効果を高める役割をもつ成分です。単体で使われることはほぼなく、殺虫成分と一緒に配合されています

一般名特長
ピペニルブトキシド(PBO) ピレスロイド系殺虫成分とともに配合することで、殺虫効果を高めることができます。ただし、それ自体には殺虫効果はほとんどありません
チオシアノ酢酸イソボルニル(IBTA) 殺虫成分の効力増強剤として使われます。ピペニルブトキシド(PBO)同様に、単体での殺虫効果はありません

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