アシダカグモにハチ!?ゴキブリにも天敵はいる

投稿日: 2019/3/1

ゴキブリは食物連鎖において下層の生き物。ということはつまり、野外にはゴキブリの命を脅かす天敵がたくさんいるわけじゃ。数多の天敵から逃れるべく、屋内に生息するゴキブリが現われたのでないか、という意見もあるくらいなんじゃ。とはいえ、屋内にも少なからずゴキブリの天敵はおる。中には、その習性を利用してゴキブリ退治をしてもらっている人もおるようじゃぞ!


屋内におけるゴキブリの天敵

生態系の中ではどの生き物にも天敵がいるように、もちろん、ゴキブリにも天敵がいます。野外に生息するゴキブリには数多の天敵が、そして、屋内に生息するゴキブリにも少なからず天敵がいるのです。

おもな屋内の天敵は、

  • ・アシダカグモ
  • ・猫
  • ・ムカデ

です。

アシダカグモ

アシダカグモ
肢の先まで入れた全長が10~13cmと大型のクモ。昼間は物陰や隙間に潜み、夜に活動する

アシダカグモは日本ではおもに屋内に生息するイエグモです。大型なので、家の中で見かけるとギョッとしてしまうかもしれませんが、アシダカグモは、ゴキブリを好んで捕食する、いわばゴキブリ対策の救世主と言える存在なのです。

具体的には、

「実験の結果では一匹のアシダカグモが、一晩に二〇匹以上のゴキブリに食いついたという報告もある。実際はアシダカグモのいる付近に、これだけ多数のゴキブリが一度にあらわれるとは考えられないが、かなり効果はある。それにアシダカグモは一匹のゴキブリに食いついているとき、新しいゴキブリが出てくると、まえのゴキブリを離して新しいのに食いつく習性があるから、害虫駆除にはもってこいのクモである」(『クモの話』著・八木沼健夫より引用)

とあるように、アシダカグモはゴキブリ駆除に力を発揮してくれる益虫なのです。その存在を表して、「アシダカ軍曹」「軍曹」とも呼ばれていますね。

アシダカグモは、人を攻撃することもなければ、網を張って家屋を汚すこともない。昼間は物陰にひそみ、じっとしている大人しいクモなんじゃ。もし、家の中でアシダカグモを見かけたら、見て見ぬふりをしてみてもいいじゃろう。寝ているうちにゴキブリを食べてくれるかもしれんぞ。

ただし、奄美諸島においては、アシダカグモは益虫とは言い切れません。恐ろしいハブを呼ぶという言い伝えがあるのです。実際に、ハブの体内からアシダカグモが発見されてもいます。ゴキブリ駆除のつもりが、猛毒を持つハブを呼び寄せてしまっては本末転倒どころか、事態を悪化させているようなもの。南西諸島では、家の中でアシダカグモを見かけたら、追い出したほうが安全でしょう。

猫

アンケートによると、ゴキブリ退治の方法に「飼い猫」を挙げる人が1000人中7名いました。コメントをいくつかピックアップしましょう。

  • 男性アイコン

    「飼い猫がゴキブリを食べるため、その猫をゴキブリの近くに連れていき、退治してもらう」(男性・東京)

  • 女性アイコン

    「猫を飼っているので、猫に狩ってもらう」(女性・岐阜)

  • 女性アイコン

    「猫を仕向けます」(女性・鹿児島)

  • 女性アイコン

    「飼い猫がゴキブリで遊んでいた」(女性・千葉)

  • 女性アイコン

    「朝起きたら枕元に死骸があった。飼っていた猫が夜中に捕まえたらしく褒めてもらおうと寝ている私の枕元に持ってきたらしかった。起きて手を伸ばしたら何かあってよく見たらゴキブリの死骸だったから、ビックリしすぎて、猫を褒めるどころじゃなかった、というよりかなり怒ってしまった。猫に悪気はなかったのは分かっていたけど、そんな暖かい目で見られなかった」(女性・埼玉)

7名が多いか少ないかはさておき、ゴキブリの天敵と言われる猫は、実際にゴキブリを狩る、ということがわかりますね。
猫には動き回るものに反応する性質があるので、素早く動くゴキブリと戯れているうちに殺してしまうケースが多いのでしょう。

ちなみに、ゴキブリと同じく猫が天敵のネズミも、ゴキブリを捕食します。が、ネズミはネズミで、配線や食品をかじったり、体に付いたノミやダニ、糞尿を落としたりするので、駆除対象の動物です。ゴキブリ対策に……とは考えないほうが無難でしょう。

ムカデ

ムカデ
体長は2.3cmから20 cm前後と種類によってさまざま

ムカデはエサと湿気を求めて住宅にも侵入します。そのエサのひとつが、ゴキブリです。であれば、ムカデをゴキブリ駆除に利用したいところですが、そううまくはいきませんね。みなさんもご存じのとおり、ムカデは人間を噛む害虫です。

ムカデには、元々が肢だった牙のような顎(顎肢・あごあし)があり、その牙に毒が仕込まれているのです。昆虫を捕食する際には、顎肢でガブリとやるわけですね。人間に対しても同じです。ムカデに噛まれて死亡した例はいまのところありません。しかし、体質によってはアナフィラキシーショックを起こすことがあります。
家の中でムカデを見かけたら、速やかに駆除しましょう。

ひームカデ怖いです……。実物は見たことがありませんが、写真だけでも怖いですね……。


野外におけるゴキブリの天敵

食物連鎖の下層にいるゴキブリには、哺乳類をはじめ鳥類、昆虫類など、数え上げれば切りがないほど数多の天敵がいます。野外に生息するゴキブリは、常に天敵の脅威にさらされているわけですね。

ゴキブリの天敵たち

ゴキブリは、捕食されるだけではなく、寄生されることもあります。ちょっと変わった例を見てみましょう。

ゴキブリを奴隷化する!エメラルドゴキブリバチ

エメラルドゴキブリバチ
体長2cm前後。メタリックに輝く体は美しく、英語圏ではジュエル・ワスプ(宝石バチ)と呼ばれている
撮影/Muhammad Mahdi Karim
GFDL 1.2

エメラルドゴキブリバチは、名前に「ゴキブリ」が入っていることからもわかるように、ゴキブリとの関係が深いハチ。なんと! ゴキブリを操って巣へと誘導し、腹部に卵を産み付けるのです。

彼らがゴキブリを操る方法は実に独特です。
まず、ゴキブリの胸部を刺して毒液を送り込み、前肢を麻痺させます。次に、脳を刺し、逃避反射を制御する細胞に毒を送り込みます。このようにして2度刺されたゴキブリは、エメラルドゴキブリバチのいいなりに。さらには、触角を半分に切り取られ、完全にエメラルドゴキブリバチの奴隷と化すのです。

奴隷化したゴキブリは、エメラルドゴキブリバチに残った触覚を引っ張られながら、彼らの巣穴へと歩いていきます。そして促されるままに巣穴の奥へと進み、大人しく卵を産み付けられるというわけです。

奴隷化したゴキブリ
ゴキブリの触角を切り取る理由はまだ明らかにされていません

卵が孵化するまでの約3日間、ゴキブリは何をするでもなく大人しく過ごします。そして、孵化した幼虫に腹部を食い破られ体を食べられていきます。ゴキブリは、そのままの状態で生きながらにして、ただただ食べられ続けるのです。そして約8日後、幼虫が体内で蛹になると、ゴキブリは静かに死んでいきます。なんだか壮絶な奴隷生活ですよね。

日本にはエメラルドゴキブリバチは分布していませんが、同種のセナガアナバチが関東以西を中心に生息しています。セナガアナバチも、エメラルドゴキブリバチと同じように、ゴキブリを奴隷化します。

ど、奴隷だなんて……なんて恐ろしいんでしょうか……。
このエメラルドゴキブリバチは、アメリカの研究グループによってゴキブリ防除に活用できないかと調査が行われましたが、失敗に終わっています(Williams FX,1941)。理由は、1匹当たりの狩猟量が少ないことと、縄張り意識の強さから広範囲に拡散しなかったためだと考えられています。

ゴキブリに寄生する!ゴキブリヤセバチ

ゴキブリヤセバチ
体長5mm前後の小さなハチ。後肢が長く、腹部が小さい
撮影/Muhammad Mahdi Karim
GFDL 1.2

ゴキブリヤセバチは、ゴキブリの卵鞘に寄生するハチ。ゴキブリのメスのお尻から突き出た状態の卵鞘の中に、自分の卵を産み付けます(産み落とされた後の卵鞘には産み付けません)。ひとつの卵鞘につき、一匹のゴキブリヤセバチが孵化します。

ちなみに日本には、ゴキブリコバチという、ゴキブリの卵鞘に寄生するハチがもう一種生息しています。体長2mmとゴキブリヤセバチよりもさらに小さいハチです。

こちらは、産み落とされた後の卵鞘の中に卵を産み付けます。また、静岡県衛生研究所の調査では、ひとつの卵鞘につき平均して59.3匹、卵ひとつあたり平均2.6匹寄生したという結果が出ている通り(『衛生動物 VoL 27 No .2 p.157〜162 1976』より)、多数寄生を行います。

ゴキブリに寄生するきのこ!ヒュウガゴキブリタケ

ヒュウガゴキブリタケ
撮影/増永元(彩元堂)

みなさん、「冬虫夏草」という植物の名はご存じでしょうか?
冬虫夏草は、昆虫にとりついて殺した後、その虫の体を栄養源にして成長するキノコのこと。この冬虫夏草、ゴキブリからも生えるのです。その名は、ヒュウガゴキブリタケ。

ヒュウガゴキブリタケは、朽ち木の中に生息するゴキブリにとりついて殺し、生えるキノコで、宮崎県や屋久島などで発見されています。いまのところ、ゴキブリの中では、朽ち木の中に生息するタイプにとりつくものしか発見されておらず、残念ながら、私たちの家に出るゴキブリにとりついた例は発見されていません。

キ、キノコまで寄生するのですか……!ブルブルブル……。


まとめ

野外に生息するゴキブリには、数多の天敵がいます。

ゴキブリの天敵たち

サルはゴキブリを好んで食べると言われていますし、鳥類もゴキブリを捕食します。さらにはカマキリなどの昆虫も……と枚挙にいとまがありません。また、エメラルドゴキブリバチなどのように、体の小さな昆虫たちにも寄生される可能性があるのです。

もしかしたらゴキブリは、野外にいる数多の天敵から逃げるように屋内へと足を延ばしたのかもしれません。

屋内におけるおもな天敵は、

  • ・アシダカグモ
  • ・猫
  • ・ムカデ

など、野外のそれに比べ数がぐっと減るわけです。

ところが、数は減るものの、ほかの天敵とは異なり、ひたすら駆除を目指してゴキブリに襲い掛かる天敵が屋内には存在しますね。そう、私たち人間です。彼らの生態を調べ上げ、新たなる駆除剤を開発し、駆逐せんと追い回す人間は、はるか昔から生きているゴキブリからすると、新種の天敵。今後よりいっそうの脅威を感じてくれれば、屋内に入って来なくなる、という可能性は無きにしも非ずでしょう。
以下を参考に、彼らの屋内での繁栄を阻止しましょう!

対策アイテムについて詳しくは⇒『ゴキブリを見ないで駆除できる!ベイト剤・捕獲器・くん煙剤・忌避剤の効果』
『「ベイト剤」の効果的な設置場所とゴキブリを寄せ付けない4つのポイント』
『ゴキブリ退治の基本!スプレー式駆除剤の効果と安全性をチェック!』

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